本紙掲載日:2023-12-07
(8面)

舞台に立ち、役者気分−宮水小3、4年生

大人歌舞伎を体験−日之影

 日之影町立宮水小学校(冨迫裕紀子校長、68人)の3、4年生16人が11月30日、地元の大人(おおひと)地区に伝わる郷土芸能「大人歌舞伎」を体験した。地域の魅力を知ることで郷土愛の醸成などを図る総合学習の一環。大人歌舞伎保存会(山本唯仁会長、約20人)に着付けや所作などを教わり、役者気分を存分に味わった。

 大人歌舞伎は九州唯一の農村歌舞伎として1995年、県無形民俗文化財に指定された。安土桃山時代に岩井川地方一帯を善政で治め、非業の最期を遂げた甲斐宗攝の愛した芝居の弔いで演じたことが起源とされ、毎年10月の大人神社秋季大祭などで奉納されている。

 この日の体験は同地区の大人歌舞伎の館であり、役決めの後、保存会副会長の丹部俊夫さん(73)らが着付けと化粧を指導。おしろいを塗った顔に墨と紅の隈(くま)取りを施し、かつらや衣装、小道具を身に着けるなどした児童たちは、「白浪五人男」「寿三番叟(さんばそう)」を演じた。

 演目の解説に耳を傾けながら、口上と見えの切り方、扇や鈴の扱い、足運びやお辞儀の所作などを練習。奉納公演でも使用される舞台に立って威勢の良い名乗りや力強い踏み込み音を響かせ、優雅な歩き姿を披露した。

 白波五人男を演じた4年生の池田新さん(10)は「見えを切る時のにらみが難しかったけど、見るよりやる方が楽しいと感じた。恐竜を発掘する夢をかなえて、いつか大人歌舞伎もできればいいなと思う」と笑顔。

 丹部さんは「楽しいと感じてくれた子どもの心には、きょうの体験が思い出として残り続ける。いつか、何かをきっかけに大人歌舞伎をやってみたいと思ってくれる子どもが出てきてくれたらうれしい」と期待した。

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