本紙掲載日:2023-12-08
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「空飛ぶクルマ」飛行実験へ−国へ申請

九保大グラウンド候補地に−延岡市

 延岡市の「『空飛ぶクルマ』も見据えた新たな緊急搬送体制づくり事業」で、読谷山洋司市長は7日、機体の有人飛行実験を来年3月上旬に九州保健福祉大学グラウンド(吉野町)で実施する方向で、国に申請していることを明らかにした。市議会一般質問で上杉泰洋議員(無所属市民の会)の質問に答えた。

 九州保健福祉大学グラウンドを候補地とした理由について読谷山市長は、「周辺に高圧線や高い構造物がない」「公道や河川の上は難しい」「海上での有人飛行だと救難隊を置く必要がある」「市の救急医療活用にふさわしい場所を選ぶ必要がある」ことを挙げた。

 これらを踏まえた上で、九保大は県防災計画で航空搬送拠点に位置付けられており、県外からのDMAT(災害派遣医療チーム)の受け入れ訓練なども行った実績があると説明。国土交通省航空局に許可申請を行っていると報告した。

 飛行実験と併せて、医療や防災の専門家による講演会やワークショップも開催予定。「空飛ぶクルマへの市民の理解を深め、延岡に合った空飛ぶクルマの救急医療、防災への活用に向けたさまざまな提言をまとめていく考えだ」と語った。

 飛行実験より前の2月中旬から下旬にかけては、野口遵記念館のフリースペースに空飛ぶクルマのシミュレーターを設置し、市民向けの飛行シミュレーション体験会も準備中という。

 次の実証で市内上空を飛行させるために設置が必要な離着陸場については、既存のドクターヘリが離着陸できないエリアを含め、今年度中に第1次選考を実施。医療・防災関係者による検討会を経て、来年度以降の詳細選考に利活用する考えを示した。

 一方、救命救急の現場でドクターヘリやドクターカーでは十分対応できなかった具体的事例を調査しており、空飛ぶクルマがどのような場面で、どのように活用できるかなどを厚生労働省へ報告するための資料も作成中だと説明。

 「全国に先駆けて、一人でも多くの市民の命を救うよう、空飛ぶクルマの医療・防災業務への実装に向け取り組んでいく」と力を込めた。

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