本紙掲載日:2023-12-18
(7面)

形変わっても心一つに−中学生〜90代

会場は満席、「ブラボー」の声

◆来年は延フィルと全曲演奏

 のべおか「第九」を歌う会は1986年、延岡総合文化センター開館1周年記念事業の一環で結成された。以来、おおむね毎年、プロオーケストラである九州交響楽団を招聘(しょうへい)し、県内出身などのソリストとともに第九を全曲演奏してきた。

 しかし、同楽団の出演料の値上がりや、歌う会の団員減少などにより、新たな形への見直しを迫られることに。全曲演奏は3年に1回とし、その間の2年間は「夕べ」として、第九の第4楽章のみをピアノ2台で伴奏し、さらに地元の音楽団体と協力しながら、さまざまな形で実施していくこととなった。

 その初の「夕べ」となった今回。第1部はクリスマスを前に、ひむかオペラの会が「オー・ホーリー・ナイト」「ホワイトクリスマス」など、延岡フィルハーモニー管弦楽団が「クリスマス協奏曲」を、それぞれ届けた。

 第2部はピアノ2台による伴奏で第九の第4楽章を演奏。元公立学校音楽教諭で県北に長く勤務した山本俊之さん(67)=熊本市在住=の指揮で、4人のソリストとともに、中学生〜90代の団員80人が力強く「歓喜の歌」を響かせた。

 形は変わっても歌の力に変わりはなく、心を一つに高らかと歌う団員たちの姿に、満席となった会場からは「ブラボー」の声が送られた。

 延岡市の熊本満喜子さん(74)と甲斐幸子さん(68)は「ラジオで知り、義理のきょうだいで誘い合わせて、初めて聞きに来ました。年齢問わず一緒にステージに立ち、力強く歌う皆さんの姿に本当に感動しました。幸せな気持ちで新年を迎えられそうです」。

 職場の同僚と聞きに来た日向市の田口静加さん(35)は「ピアノ2台とは思えない厚みのある伴奏で、合唱が入ってきた瞬間、鳥肌が立ちました。とても感動しました」と、それぞれ話した。

 また、指揮の山本さんは「延岡は小さなまちですが、ここにはオーケストラがあり、オペラがあり、第九がある。そしてこれだけ力を合わせ、文化を大切にできるまちはあまりありません。本当にすばらしいことです」とたたえた。

 来年は12月14日、延岡市の延岡総合文化センター大ホールで延岡フィルハーモニー管弦楽団との全曲演奏が予定されている。

 同歌う会の日盥У会長(56)は「この延岡の地で第九を歌いつないでいくため、まずは来年の全曲演奏に向けて団員の確保に取り組んでいきたい」と話した。

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