本紙掲載日:2023-12-20
(2面)

子宮頸がんから体を守って

ワクチン接種、重要性学ぶ−延岡学園高

◆県立看護大川越教授招き講演会

 子宮頸(けい)がんの予防に効果的なHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種啓発講演会が18日、延岡市大峡町の延岡学園高校(柳田光寛校長、597人)であった。県産婦人科医会会長で県立看護大学の川越靖之教授を講師に迎え、ワクチンの有効性や諸外国との違いについて学んだ。

 川越教授によると、子宮頸がんは年間約1万1千人が発症し、約3千人が亡くなっている病気で、その数はアメリカの3倍。本県は2019年に罹患(りかん)率が日本一になり、「発症すると5年以内に4人に1人、10年以内に3人に1人が亡くなる。若いから治るっていう病気ではない。がんというのは怖い」と訴えた。

 一方、99%がウイルスが原因で、「ワクチンを打てば9割防ぐことができる。ウイルスから自分たちを守ってくれる。だからワクチンを打ってと言っている」と述べた。

 ウイルスは細胞の中に入ってしまうため、一度感染すると、体の中にずっとすみ込んでしまい、治せる方法がないことも説明。性交渉をすることでうつるため、ワクチンはその前に打つ必要があるのだという。

 15〜20歳を検査すると、3人に1人はウイルスが子宮の出口に感染していることを示した川越教授は、「中学生で打たないと間に合わない」と強調。HPVは皮膚に存在し、いぼなどを作るもので、ありふれたウイルスだと指摘した。

 国内では、ワクチンの接種がなかなか進んでいないが、20年近くワクチン接種が盛んに行われている諸外国ではスウェーデンやデンマークなど複数の国で、がんにかかり始める30代などの罹患者が9割以上減少。このうち、2007年から12、13歳の男女にワクチンを接種してきたオーストラリアでは、順調に罹患者が減っており、35年には10万人に4人しかかからない「希少がん」になる見込みという。

 国内では、24〜29歳の世代の8割はワクチンを打っているものの、17〜23歳は非接種世代。川越教授は「接種世代に比べて1学年当たり4千人多く罹患し、そのうち千人が亡くなる」との予想を示し、1997年〜2006年度生まれの未接種世代の女性を対象に現在行われている「キャップアップ接種」が、来年度末で終了予定であることを紹介。3回の接種が必要で、個人負担で接種する場合は3回で10万円ほどの費用がかかるとした。

 最後に、子宮頸がんについて、本県に多い若い人のがん▽ワクチンで90%予防可能▽14年以上効果がある▽性交渉前の接種が有効的―とまとめ、「HPVから自分の体を守って」と呼び掛けた。

 生徒会副会長の小山椋大さん(2年)は、「自分たちの未来を守るため、男性でも女性でも理解を深めて、ワクチンを接種することが大事だなと思った」と話した。

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