本紙掲載日:2024-01-11
(7面)

2冊目の絵本を出版

現代美術家・アーナー恵子さん(延岡市)

◆応募した人たちも登場

 延岡市鶴ケ丘の現代美術家・アーナー恵子さん(63)が先月、2冊目の絵本「ワッショイ星人の赤いキャンディー」を出版した。応募のあった人たちの分身も登場するユニークな内容で、「楽しんでいただけるのが一番です」と願っている。

 「ワッショイ星人」はアーナーさんのオリジナルキャラクター。口蹄(こうてい)疫、東日本大震災、そして自身も夫を病気で亡くし、悲しみから立ち上がろうともがいていた2012年に誕生した。

 22年12月には、画集も兼ねた絵本「ワッショイ星人がやってきた」を出版。絵本を読んだ一人の女性から「協力するから2冊目を出してほしい」と出資の申し出があったこともあり、1年後の出版がかなった。

 その女性の願いの一つが、「地元の美しさ、延岡の素晴らしさを子どもたちに伝えたい」ということ。河津桜や菜の花が美しいコノハナロード、大勢の人でにぎわうお大師さん(延岡今山大師祭)、自然が美しい下阿蘇ビーチ、ばんば踊りなど、延岡の風景や行事、文化などをふんだんに取り入れた。

 そして今回は、参加型絵本という新たな試みを取り入れたのが大きな特徴。2冊目の制作に取り掛かった頃、ある人から「どこでもいいから私も載せて」と言われたことがきっかけになった。

 新聞や個展会場などで呼び掛けたところ、見ず知らずの人も含めて106人から応募があった。

 コンビニのおにぎりが大好きな90代のおばあちゃん、よく絵本の読み聞かせをしている小学校の先生、神社巡りが好きな双子のお母さん―など、それぞれの特徴を聞き取り、ワッショイ星人や動物などに姿、形を変えて登場させた。「大変だったがいい思い出になった」という。

 ワッショイ星人の友達という「おそうじ星人」も初登場。ほかの動物の助けを求める声を聞くと、すぐに駆け付けて掃除をする頼もしい存在だが、「ここだけの話、彼らの部屋はかなり散らかっています」との一文が添えられた。

 「得意、不得意があるけれど、それぞれのいいところを組み合わせて、補っていけばうまくいくよね」「完璧な人はいないよね」というアーナーさんの温かな思いが、あちこちにちりばめられた。

 誕生時から変わらず一人一人に寄り添い、見守ってくれる存在ながら説教はしないワッショイ星人は「性別もなければ、星人か妖精かも分からないけど、どんどん自由になっている」とアーナーさん。増殖したワッショイ星人が今回も、優しく応援してくれる。

 絵本はA4サイズ、カラーで34ページ。鉱脈社(宮崎市)から発行し、1430円。県内二十数店舗の書店に並んでいる。

 出版に合わせ、ワッショイ星人が描かれた「赤いキャンディー」も作った。
問い合わせはアーナーさん(筍娃坑亜Γ隠隠僑后Γ沓僑械后砲泙如

その他の記事/過去の記事

印刷には対応しておりません。
当サイトは、閲覧のみになります。

写真の販売:https://stg-yukan-daily.epitas.com/provider/
写真販売所ガイド:https://yukan-daily.co.jp/photo-guide/page/