本紙掲載日:2024-01-15
(1面)

2024年新春インタビュー(8)−藤猪一郎諸塚村長

新生諸塚元年へ、今からわくわく−「J−クレジット」活用に期待

−−就任から8カ月余りを振り返って。

これまでの行政経験を踏まえ、村の課題はある程度把握していましたので、就任後、早い段階で取り組みをスタートできたと感じています。
就任と同時に新型コロナが「5類」に移行したことで、村民文化祭をはじめイベントや祭りが4年ぶりに行われ、せきを切ったように地域活動が動き始めました。
一方で燃油価格や物価が高騰し、農林業者の経営や生活者の家計を圧迫しました。今もその状況は続いており、国の交付金などを活用して対応しているところです。
明るい兆しとして、諸塚村は1907(明治40)年制定の村是にもあるように、「林業立村」として今日までぶれることなく、その歩みをつないでいます。最近は「J―クレジット」を活用した新たな森林管理の取り組みも行われています。
「J―クレジット」は、村の森林管理活動によるCO2(二酸化炭素)の吸収量をクレジット化し、企業などに買ってもらい、その排出量をオフセット(相殺)する仕組みで、2010年から取り組んでいます。
公有林からスタートし、昨年は民有林も対象になりました。さらなる活用を図るため、昨年11月には村内に協議会が発足し、今月末には協議会と耳川広域森林組合の調印式が行われる予定です。新たな価値の創造につながる先進的な林業経営のあり方として期待しています。

−−2022年9月の台風14号被害について、復旧状況は。

まだ道半ばという状況です。土木災害だけでも227カ所と、日向土木事務所管内の市町村で最も数が多く、村内には業者も少ないことから、復旧は全体の半分ほどしか進んでいません。
中でも村道の被害が大きく、木材の搬出などに大きな影響が出ています。また、土砂が流入したままの田んぼも残されており、作付けにも影響が及んでいます。

−−新たな年に向けて。

人口が減る中でも、地域に暮らす住民一人一人の暮らしや顔が見えているからこそできる小規模町村の優位性を生かし、地域の課題に対して時代が求める暮らしをつくっていくことで、この地域に暮らすことの価値を高めることができると考えています。
希望の一つに、五ケ瀬町と諸塚村を結ぶ国道503号飯干バイパス(延長5キロ)があります。国の事業化決定を受け、2031年度の完成目標に向けて計画通りに進むよう、今後も官民一体となって取り組んでいきます。
また、新年度を「新生諸塚元年」と位置付け、教育と連携した人材育成対策、Uターン促進、ネットワーク環境の強化、若者の起業支援など、さまざまな事業に取り組んでいきます。やれることはやってみようと、今からわくわくしています。

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