本紙掲載日:2024-01-15
(7面)

水の安全や豊作願う

吉野町で伝統の甘酒祭り

 延岡市吉野町で14日、カッパを祭る町内7カ所のほこらなどに、新米で造った甘酒を供える伝統行事「甘酒祭り」があった。主催する吉野神世話人会(甲斐壽代表)のメンバーらが手分けして7カ所すべてを回り、豊作や水難消除を祈った。

 吉野町は、神武天皇の兄・五瀬命(イツセノミコト)夫妻の新婚の地とされ、夫妻を祭る水谷神社がある。五瀬命は町を離れる際、氾濫などで村人たちを苦しめていた五ケ瀬川を心配し、5人の水神様に川の安全を守るよう命令。その神様がカッパに姿を変えて、五ケ瀬川を守っているとの言い伝えが残っている。

 祭りは毎年、春先から川や田畑で水の安全を守り、豊作を見届けて山に戻るカッパの移動日(旧暦の11月25日)の前後に開催。カッパが通り、休憩する場所として伝わる町境を含む7カ所に、土産として、細い竹筒に甘酒を注ぎ、供えている。

 この日は吉野営農集会所で神事を行った後、すべてのカッパが集まる場所として伝わる巨木スダジイ横のほこらへ移動。甘酒が注がれた24本の竹筒を供え、全員で手を合わせた。その後、男性が中心となって手分けしてすべてを回り、竹筒を2本ずつ供えた。

 同町では、毎年8世帯が神世話人となって、年に十数回ある祭りを主催。今回も、「カッパの通り道」と伝わる場所の草刈り、竹筒や甘酒造りなどの準備を経て、当日を迎えた。

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