本紙掲載日:2024-01-18
(3面)

鹿よけ防護ネット補修−高千穂

高千穂町の五ケ所高原で行われた鹿よけ用防護ネットの補修作業

五ケ所高原ゴマ姫の草原守る会

 高千穂町の五ケ所高原に生息する希少な動植物を守ろうと、地元の環境保護団体「五ケ所高原ゴマ姫の草原を守る会」(甲斐英明会長、22人)は、各所に鹿よけの防護ネットを設置している。このうち、絶滅危惧種のチョウ目ゴマシジミが卵を産み付けることで知られるバラ科の多年草ワレモコウなどが自生する原野約25アールを囲うネットの補修作業が14日にあり、会員6人が汗を流した。

 五ケ所地区には、県内で確認されている植物約3000種のうち800種以上が分布。このうち約170種が県の絶滅危惧種、28種が希少野生動植物に指定されている。

 防護ネットの整備は同会が設立した2013年に始まり、県希少野生動植物保護対策事業の委託を受けて毎年度実施。今回の補修箇所は、16年に設置して以降、鹿が飛びかかって破損したと思われる横幅約50メートルで、委託費5万6179円を活用して張り替えを行った。

 作業しやすいよう雑草を刈り、高さ2・4メートルのポールを等間隔で打ち込んだ後、上下に「張りロープ」と「押さえロープ」を通したステンレス製の防護ネットを製作。声を掛け合いながら手際よく取り組み、ポールに沿って張り巡らせた。

 甲斐会長(75)は「鹿の食害で花が咲かなくなり、随伴する生物も大きく数を減らした。防護ネットの整備は地道な作業だが、美しい高原を守るために続けていきたい」と話した。

◆環境省「鹿が自然を食べ尽くす」と警鐘

 鹿は近年、個体数を増やしながら分布を広げ、生態系や農林業に深刻な被害を及ぼしている。

 県内における農作物の22年度被害額は1億4094万円に上り、同じく食害が問題視されるイノシシや猿と比較しても高い傾向。

 また、樹皮を食べられた木が枯れ、森林が衰えることで多くの動植物に影響を与える恐れから、環境省は「鹿が日本の自然を食べ尽くす」と警鐘を鳴らしている。

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