本紙掲載日:2024-02-01
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森みなみさん(五ケ瀬中等3年)文科大臣賞

第67回日本学生科学賞で文部科学大臣賞を受賞した森さん。手元はダブルクラウン現象を収めた写真

日本学生科学賞−県勢15年ぶり2人目











◆「クラウンはどうなっちょると?〜2年目の挑戦」
 ラーメンのスープから〃ダブルクラウン現象〃発見

 身の回りの不思議や学説などについて研究した成果を競う「第67回日本学生科学賞」で、県立五ケ瀬中等教育学校(平和正校長、217人)3年の森みなみさん(15)が文部科学大臣賞を受賞した。県勢として15年ぶり2人目、中学生としては初めての快挙に「受賞できる内容じゃないと思っていたので驚いたけど、今後のモチベーションや自信につながりました」と喜んでいる。

 1957年に始まった日本学生科学賞は毎年9、10月、全国の中学・高校生から研究作品を募集。物理、化学、生物、地学といった7分野に寄せられた論文などを専門家らが審査し、年代別に優秀作品を表彰している。

 本県からは今回、昨年11月の地方審査を勝ち抜いた中学生3点、高校生3点を出品。12月の中央最終審査に残った各20作品から受賞作と入選作が選ばれ、同22日に東京都の日本科学未来館で表彰式が行われた。

 森さんは一昨年、テレビコマーシャルで知った「クラウン現象」(薄い液膜に液滴を衝突させることで発生するしぶきが王冠型を呈する現象)に関心を持った。

 「(液滴を衝突させた時に)ふわっと広がる小さな粒がかわいい」と同年の自由研究テーマに設定し、液体の粘度や液滴を落とす高さ、液面の深さからクラウンが最もきれいに形成される条件「牛乳×高さ57センチ×深さ3ミリ」を導き出した。

 受賞対象となった研究ではこの内容を踏まえ、新たに、異なる液面と液滴を組み合わせたり、液面や液滴を物体に置き換えるなどした研究に挑戦。「粘度」「高さ」「深さ」以外の要素がクラウン現象に及ぼす影響を探り「クラウンはどうなっちょると?〜2年目の挑戦」と題したA4判12枚の論文にまとめた。

 このうち、昼食のラーメンスープから着想を得たという発展研究では、水と油で作った2層の液面に液滴を投入。クラウンの内側に小さなクラウンが重なる〃ダブルクラウン現象〃を発見し、審査員から「どの文献にも見当たらないすごい発見」などと称賛された。

 研究の指導やサポートに当たった楯岡秀人教諭(45)は受賞について「初めての発見に加え、そのメカニズムを分析して自分なりの結論にたどり着いた点が評価されたのでは」と推測する。

 森さんは今後、クラウンが形成されない条件を探ることで台所のシンクや服などへの飛び散り汚れ防止に役立てたいとしている。「これからも身の回りの不思議に興味を持ち、いろいろな研究に挑戦したい」と抱負。

 夢に見据える医療関係の仕事には「あまり役立たないかもしれない」とはにかみつつ、「答えを導き出すまでの忍耐力や考察力は身に付いたと思います。医療にも研究の分野はあるので、何かしらの形で役に立てられたらうれしい」と語った。

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