本紙掲載日:2024-02-29
(1面)

「言語による医療格差なくしたい」

開発したメンバー

受診サポートサービス開発−延岡星雲高3年生

◆アプリとイラストカードで−外国人に安心安全な医療を

 延岡星雲高校(宮真司校長)の3年生12人が、総合的な学習の探究活動の一環で、延岡を訪れた外国人が診療を受けやすくするためのアプリケーションとイラストカードを開発。2年生の時に1年かけて完成させ、受験などを終えて進路が確定したメンバーが、卒業を控えたこの時期に周知活動を開始した。

◇言葉の壁が障害

 看護学部への進学を希望するなど医療関係の職業に興味を持つ生徒12人は、観光や移住などの目的で延岡市を訪れる外国人が年々増えていることに注目。「自分たちが当たり前に受けている医療を外国人も平等に受けられているのか」と疑問に感じて調査を始めた。

 県内の大学に通う留学生や市の国際交流推進室などに聞き取りをした結果、「言葉の壁」が大きな障害となっていることが分かった。

 宮崎市にある宮崎情報ビジネス医療専門学校の協力の下、6人ずつの2班に分かれ、「一目で必要な病院の情報が分かるアプリ」と「言語が違ってもスムーズに診察が進むイラストカード」の開発を計画した。

◇3言語に対応

 アプリ班の6人は「パイソン」というプログラミング言語を使って開発。初挑戦のプログラミングに苦戦しながらも、協力を得られた市内5カ所の病院名と診療科、マップ、診療日、診療時間を簡単に調べられるアプリに仕上げた。

 日本語、英語に加え、市内在住者が最も多いベトナム語の計3言語に対応。言語によらず誰もが安心して受診できる環境づくりを目指した。

 病院到着後に活躍するのがイラストカード。日本語、英語、ベトナム語の3言語で「頭、首、胸」などの体の部位、「発熱、腹痛」といった症状が表示してあり、カードを指さすことで大まかな情報を言葉を介さずに伝えることができる。病院に設置して、会話が困難な患者の問診を効率化させることを想定している。

 アプリ班班長の増田明日美さんは「アプリを見るだけで、延岡にある病院すべての情報が分かるようなものを作りたかった。『どの病院が何曜日の何時に開いているのか』『今の症状はどの病院にかかればいいのか』などが一度に把握できるものが必要だと思う」。

 イラストカード班班長の睫邁憧さんは「医療格差は最もあってはならない。日本語に不安がある方でも安心して病院に行けるような町になってほしい」と、それぞれに製作の思いを語った。

 詳細は、本紙へ。

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