本紙掲載日:2024-04-11
(3面)

デイリー健康大学日向会場(下)

訪問診療についても分かりやすく講話した眄弍…

「私の人生、最期まで私らしく!みんなでやってみよう人生会議!」日向たかいしクリニック・眄仗親疆猶…

◆お勧めは「時々入院、ほぼ在宅」−訪問診療を受けたい人は相談を

 「最期は自宅で」と言っても、やっぱり心配だよね、不安だよね、という人がいらっしゃいます。だから最期は病院が良いという人も、当然いらっしゃいます。自宅で過ごしていきたいという人が安心して過ごせるために、訪問診療をはじめとした在宅医療の仕組みがあります。

 まずは、どんな人が訪問診療を受けられるのか。主な対象者は認知症や脳卒中、骨折などがある高齢者、がん患者、重症心身障害児(者)など一人では通院が困難な人たちです。私が伺っているご家庭のうち、半分以上が90歳以上の患者さんです。

 実際は私が全ての在宅医療を行うわけではなく、看護師、リハビリテーション専門職、薬剤師、ヘルパーなどみんなで支えていきます。具体的には点滴、注射、緩和ケア、床ずれや傷の治療、酸素吸入、たんの吸引など、入院中に行われる治療の多くを受けることができます。

 では自宅と病院では、どう過ごし方が違うのか。基本的に病院で過ごす場合は、当然病院のルールを従って生活します。食事の時間やメニューは決まっていますし、消灯時間も決まっています。たばこや飲酒も制限されます。でも自宅は基本自由です。日常生活を継続しながら、面会にも制限はありません。

 在宅医療を受けていると、入院できなくなるんじゃないかと心配される方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。私たちは「時々入院、ほぼ在宅」をお勧めしています。

 家族が少し介護に疲れてきたから、じゃあ1週間、入院しようか。家族が旅行に行くんだけど、じゃあ4日間、入院しようか。そういうこともできます。

 訪問診療を受けたい時は、私のような訪問診療を行っている医療機関のほか、かかりつけの医療機関や、ケアマネジャー、地域包括支援センターなどにご相談ください。

 また、在宅医療は「費用が高い」と思われている人もいるかもしれませんが、はっきり言えば、入院よりは安い。

 その人の自己負担割合や、公費負担医療の有無、収入などで変わってくるので「ご相談ください」としか言いようがないのですが、例えば、認知症の85歳女性、世帯年収310万円の場合、訪問診療を月2回、訪問看護を月4回受けて、ヘルパーさんに月8回来てもらい、デイサービスに月4回通ったとすると、費用は月1万9000円ほどになります。

 入院した場合は、医療費、食事代に加え、個室に入った場合は個室代も加えると、費用は月に15万円を超えることもあります。

 また、自宅で死んだら警察が来て、大騒ぎになるんじゃないかと心配されている人もいらっしゃいます。通常、警察は来ません。家族だけでゆっくりと、心ゆくまで一緒に過ごすことができます。みとり後の身支度は、訪問看護師さんや私たちがお手伝いします。

 (おわり)

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