本紙掲載日:2024-08-29
(3面)

デイリー健康大学日向会場(中)

熱心に講話を聞く受講者

「あなたの骨は大丈夫?〜骨粗しょう症の話〜」瀧井病院・瀧井穣副院長

◆閉経後・女性ホルモンや骨量減少−50歳すぎ・半年から1年おき検査推奨

 骨密度の検査方法は主にDXA(デキサ)法、超音波法、MD(エムディ)法の三つがあります。DXA法が一般的で、腰椎や大腿骨近位部の骨密度を正確に計測できます。

 骨密度検査報告書には骨密度、若い人と比較した値、同年代と比較した値などが書いてあります。一番大事なのは若い人と比較した値である「%YAM(若年成人比較)」(Young Adult Mean=若年成人平均値)。年を取ると皆さん骨密度が低いので、若い人と比べないといけません。%YAMが80%以上あると正常範囲内、70〜80%は骨量減少、70%未満は骨粗しょう症です。

 閉経後は骨を守る働きをしている女性ホルモンが減り、骨量も減少します。女性はだいたい50歳を境に落ちてくるので注意が必要です。50歳を過ぎたら半年から1年おきに検査をおすすめします。

 大腿骨近位部骨折について。大腿骨転子部骨折の手術は、熟練した医師であれば10〜15分で終わります。整形外科医が一番最初に覚えるような比較的難易度が低い手術であり、また、折れる人(患者)が多く手術件数も多いです。大腿骨頚部(けいぶ)骨折の場合は手術に30分から1時間を要しますが、こちらも頻度が高く、整形外科医が比較的早い段階で覚える手術です。

 しかし、手術が簡単なら大丈夫という話ではありません。患者1人当たりの平均入院総医療費は約160万円。自己負担は1〜3割ですが、医療経済問題として大きな社会問題になっています。大腿骨近位部骨折が原因で要介護になる人は年間2万人と言われており、介護する側にも負担が大きくのしかかってきます。

 予後については、入院期間中の死亡率は9・8%(10人中1人)。術後1年間でみると、死亡率は3・6〜36%(10人中3、4人)。5年生存率は胃がんや大腸がんより悪いです。手術は簡単に終わりますが、実はとても怖い骨折なんです。だからこそ、骨粗しょう症の予防が大事です。

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