本紙掲載日:2024-08-30
(3面)

デイリー健康大学日向会場(下)

第29期デイリー健康大学日向会場の第1回講座。講話する瀧井副院長

「あなたの骨は大丈夫?~骨粗しょう症の話~」瀧井病院・瀧井穣副院長

◆予防には栄養、運動、日光浴-骨密度検査を受け、医師に相談を

 予防で大事なものは栄養、運動、日光浴の三つです。

 必要な栄養はカルシウム、ビタミンD、ビタミンE。カルシウムを多く含む食べ物は魚介類、大豆製品、乳製品、野菜・海藻類。牛乳は簡単に摂取できるものの一つで、200ミリリットルに220ミリグラム含まれています。魚介類は、骨や殻まで食べられる小魚、小エビ、サバ缶などがおすすめです。

 ビタミンDは、カルシウムの吸収にとても重要です。ただし、脂溶性ビタミンで脂肪に蓄積することがあるため過剰摂取には注意です。1日に必要な量は8・5マイクログラム。多く含む食物は青魚やキノコ類、牛レバーなどです。

 ビタミンKは骨の質を高めるコラーゲンを増加させます。ビタミンD同様、脂溶性ですが、過剰摂取しても影響はないです。1日に必要な量は150マイクログラム。納豆1パックで約240マイクログラムなので1日分を十分に取れます。血液をさらさらにする薬「ワーファリン」の作用を減弱させるため、内服中の人は控えてください。

 骨密度を効率よく上げる運動は散歩です。どれくらい歩いたらよいかですが、群馬県中之条町の住民5千人を対象に行われた20年に及ぶ壮大な追跡調査があります。この研究で骨粗しょう症予防には1日7千歩、または、早歩きで15分歩けば良いという結果が出ています。

 日光浴は、日の光(紫外線)を浴びるとコレステロールを材料にビタミンDがつくられます。日光に当たる時間の目安は、夏はひなたで15分、木陰で30分。40分ほど直射日光に当たると日焼けしてしまうため当たり過ぎになります。紫外線の当たり過ぎは皮膚の老化や皮膚がんのリスクもあります。

 治療の話は専門的な話なので軽くします。薬はたくさんあり、摂取の仕方は飲み薬と注射薬。一般的に注射薬の方が効果は大きいです。骨折の有無、骨密度の状態を加味して選択します。YAM値が40、50%の人はかなり強い治療が必要です。

 ただ、治療を開始しても骨密度は劇的には改善しません。内服薬は上がっても年に1、2%。注射薬でも年に数%で、5%上がれば上出来です。YAM値50%の人を70%に上げるにはものすごく大変なことです。下がりすぎると間に合わない場合もある。だからこそ、予防と早期発見が大事です。まず骨密度検査を受けること。ぜひ整形外科で相談してください。

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