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ココカラSDGs−第29回「ローカルを沸騰させたいSDGs時代に求められるブランドのあり方」

本紙掲載日:2023-08-24
6面

◆良い体験生み、良い世の中を−伊森さん
◆本質知らないとブランド失墜に−難波さん

 今注目のSDGs(エスディージーズ)をテーマに、地域や地球の未来を共に考えるFMのべおかの番組「ココカラSDGs」の第29回「ローカルを沸騰させたいSDGs時代に求められるブランドのあり方」が、17日に放送された。内容を一部抜粋して紹介する。

 アドバイザーはSDGsコミュニケーターの難波裕扶子さん(50)=シンク・オブ・アザーズ代表、日向市亀崎西=。ゲストはスチームブランド=日向市北町=代表でクリエーティブディレクター、ブランドプロデューサーの伊森参議(みよし)さん(54)。なお、収録は9日に行われた。

▽提供:旭化成、グローバル・クリーン。
□再放送□23日午後8時、27日午前11時からの2回


−−今回のテーマは「ローカルを沸騰させたいSDGs時代に求められるブランドのあり方」です。

〈難波〉近年、SDGsを経営に取り入れる企業がどんどん増えています。社会や投資家からの要請もあり、物を「作る」「買う」「使う」といった一連の流れの中でビジネス全体の見直しを図り、SDGs達成へと向かう動きがとても高まっているからです。
また、持続可能なまちづくりや地域活性化の重要なカギがSDGsであり、SDGsと地方創生の相乗効果によって、より良い地域社会を築きやすくなります。
だからこそSDGsをブランディングに取り入れることは効果が高いと考えられますが、ただ、SDGsによる社会とのコミュニケーションは、方法次第では非難や指摘を受ける恐れもあり、とても難しいのです。
そこで今回は、「クリエイティブとブランディングのチカラでローカルを沸騰させ続ける」とのコンセプトの下、長年取り組まれている伊森さんと共に、SDGs時代に求められるブランドの在り方を探っていきたいと思います。

−−伊森さん、自己紹介をお願いします。

〈伊森〉はい。企業だったり商品だったり、地方にはすごく良いものがたくさんありますが、その良さを「こんなに良いものがあるんだよ」と、デザインの力やアイデアの力で世の中に伝えていく、そういう企業活動をさせていただいています。

−−地域の祭りにも関わられているそうですね。

〈伊森〉地元の日向市細島で先月、4年ぶりに「細島みなと祭り」がフル開催され、とてもにぎわいました。昔から脈々と受け継がれている、地域が沸騰する年に1回の祭りです。
2011年から17年まで南若太鼓台の実行委員長を務め、「祭りをどう見せていくか」「見る人がいかに楽しめるか」にこだわり、太鼓台のデザインや法被の色、太鼓台の運行ルートなどを見直しました。今年は南若太鼓台の相談役として関わらせてもらいました。

−−クリエーティブディレクター、ブランドプロデューサーとはどのような仕事でしょうか。

〈伊森〉いろいろな見方がありますが、僕の中の定義としては、クリエーティブディレクターはクライアントさんの悩みだったり要望だったりを聞かせてもらった時に出てくるキーワードを、いかに組み立てて世の中に伝えていくか、どう伝えたらきちんと伝わるか、より良く伝わるか。
言語とビジュアルを組み合わせて、ストーリーを持って伝えられるように組み立てていき、その後、デザイナーやウェブの作り手たちと一緒にタッチポイント(顧客接点)を整えていきます。
また、ブランドとは企業や商品の名前を聞いた時に「あ、あの企業ね」「あの商品ね」と根付いているものを指します。
先ほども話しましたが、地方には良い企業や良い商品がたくさんあります。それらを世の中の人の頭の中に植え付けていくブランドをつくっていく。それがブランドプロデューサーです。

−−思いは、社名からも伝わってきます。

〈伊森〉昨年法人化した際、社名を「マウンテン&バレー」から「スチームブランド」に変えました。スチームは水を沸騰させることによって出る「蒸気」のことです。何かの力を加えることによって、そのものが変化し、それが蒸気だとしたら、その蒸気がすごい推進力を生みます。
クリエーティブの力やブランドの力を加えることによって変化を起こし、大きく前に進んだり大きな力を発揮したり、そういうものをつくっていこうという思いを、スチームという言葉で表しています。

−−これまで、どのようなプロモーションに携わってこられたのでしょうか。

〈伊森〉色々ありますが、例えば、あるお菓子屋さんから「そろそろラベルパッケージの在庫がなくなるので新しいデザインに切り替えたい」という相談を受けたことがありました。
お話を伺ったら、すごくおいしくて良いものをたくさん作っているお菓子屋さんでした。ただ、その良さがなかなか伝わっていなかったので、「もう少しお店全体がちゃんと伝わるようなところから始めてみませんか」と提案させていただきました。
まず、お店の印象となるロゴや色を決めるところから整えていって、そこから、そのお店らしさが出るようなパッケージの開発を進めました。
相談は、ある一つのお菓子のラベルパッケージだったのですが、ロゴを整えるところから、最終的にその店の他のお菓子のラベルパッケージを一つずつ変えていくことになりました。そうすることで「これ見たことがある」「あのお店のお菓子おいしかったよね」と、認知がどんどん広がっていきます。
これは一つの例ですが、ちょっと引いた目線で見て、このエリアで、この企業が、この商品が広がっていくためにはどういったキーワードがあるか。まずは言語を拾い上げ、言語からコンセプトを文字にして、その文字からロゴや色が生まれ、パッケージやホームページ、リーフレットなどのタッチポイントを整えていきます。
そういったお店が増えていったり、商品が増えていったり、イベントが増えていったりすることで、最終的にそのローカル自体が、すごく盛り上がっていきます。ローカルがきちんと価値を生み出し、その価値をきちんと対価として得られる仕組みになれば、必ず日本全体が盛り上がっていくと思っています。

〈難波〉思っていることを言語化する作業は、すごく大変ではないですか。

〈伊森〉でも、言語じゃないと伝わらないことはたくさんあります。いくら色を見ても形を見ても、印象としては伝わるけど、具体的なことはやっぱり言語じゃないと伝わりません。
世の中の広告やパッケージは基本、言語とビジュアルの組み合わせでしかなく、その基となるコンセプトをつかさどるのが言語なのです。

−−クリエーティブディレクターとして一番大切にしていることは何ですか。

〈伊森〉どういう体験を生み出すかです。僕が今まで話してきたことは結局、接する人たちがどういう体験を得られるかに行き着きます。例えば、お菓子を既製品のパッケージとお店オリジナルのパッケージで売るのでは、売り場での体験が違います。
お客さんはオリジナルのパッケージを見て「このパッケージかわいいね」「どこのだろう」と、既製品とは違った出合いをします。そして、食べてみておいしいと感じた経験をした後、その商品をリピートしたり人に勧めたりして、繰り返しが生まれます。
一番大事な本質を伝えるために、そこに接する人たちがどういう体験をできるのかを、デザインや現場などの力で生み出していきます。極めてシンプルですが、基本的には「どういう体験を生むのか」「どういうストーリー性を持たせて世の中に伝えていくか」を考えています。

〈難波〉実は私と伊森さんの出会いはデザインではなく、SDGsがきっかけでした。当時は今のようにSDGsがあまり認知されていませんでしたが、伊森さんはSDGsの重要性を認識されていて、私は「分かってくださる方がいらっしゃる」とものすごく驚き、うれしかったです。

−−なぜSDGsのことをご存じだったのですか。

〈伊森〉仕事柄、知らない言葉に出合うと調べます。もちろん、最初はSDGsの読み方も分かりませんでした。調べてみると「すごいことをやろうとしている。しかも地球規模で」と驚きました。
SDGsには「誰一人取り残さない」などいろいろなキーワードがありますが、それらを言語とビジュアルで表して世界中に広めていることを知り、すごく驚いたことが始まりです。

〈難波〉私は「2030SDGsカードゲーム」のファシリテーターの資格を持っていますが、伊森さんが「僕も取りたいです。SDGsをもっと知りたいです」とおっしゃったことに驚きました。

〈伊森〉実際は資格取得までには至りませんでした。当時は資格を取るべきだと思いましたが、僕の立場はSDGsを取り入れながら、良いものを正しく世の中に伝えていくことです。
SDGsについて知らなくてはいけないのですが、そればかりにとらわれるのは違うかなと感じました。難波さんはSDGsのプロフェッショナル、僕らは伝えるという立場で一緒に取り組み、より新しい価値を生み出していく。そういう活動が今できていると感じています。

〈難波〉帝国データバンクは7月に、6月に行ったSDGsに関する企業の意識調査の結果を発表しました。それによると、SDGsに積極的な企業は5割を超えており、効果を実感したり売り上げ増につながったりした企業が増えてきているそうです。
また、どのような効果を実感したのかというと、1位は「企業イメージの向上」でした。ほかには「従業員のモチベーションの向上」「経営方針等の明確化」「採用活動におけるプラスの効果」「売り上げの増加」もありました。
つまり、社会課題の解決と企業の成長は両立できることを示した事例が、増えたことが明確化されました。
「企業イメージの向上」に関しては、企業が発信しないと社会は分かりません。しかし、日本人は良いことを黙っておくことが美徳とする国民性があります。
SDGsは発信することがすごく大事です。企業の取り組みを自然発生的に社会が知るのではなく、企業が社会に伝えることの重要性が問われています。
伊森さんはこのことについて、どのようにお考えですか。

〈伊森〉SDGsについて、取りあえず時代の流れに従って取り組んでいる企業もあれば、企業全体でチームをつくって本気で取り組んでいる企業もあります。
僕はどちらのタイプの企業とも仕事をさせてもらっていますが、本質的な部分を学んでいるかどうかで、発信の仕方がだいぶ違うように感じます。また、本気で取り組んでいる企業の中には、オリジナルのSDGsロゴマークを作る企業もあり、自分たちはここまでやっているんだと、企業のやる気が伝わってきます。
ローカルを沸騰させるためにも、企業が本気で世の中、環境、人々のことを考えることが必要です。SDGsという形ではありますが、しっかりと取り組むことで物事の考え方や価値観、日常生活などに根付いていくと思います。
いかに本気で取り組むか、知識として知っているのかが日頃の無意識の活動に表れます。そういった人が増えれば増えるほど地球、環境、人々のことを考えて実行に移せる未来が待っているような気がします。

〈難波〉SDGsの本質を知らないで取り組むとSDGsウォッシュ(見せ掛け)を生んでしまい、ブランドの失墜につながります。知っているかのように取り組んでしまうと消費者は「うわべだけじゃないの」と感じ、ブランドへの信頼感を失ってしまいます。すごくもったいないことです。

−−最後に、皆さんにメッセージをお願いします。

〈伊森〉皆さん、良い体験を生み出して、良い世の中をつくっていきましょう。やらされているのではなく、自主的に楽しむことが大事です。楽しみながら人生を送っていければと思います。

〈難波〉企業はブランドを失墜させる怖さを知っているからこそ発信しないことがあります。それはすごくもったいないです。
正しく発信しながらも、できていないことはできていないこととして発信する誠実さと確かさが求められています。(おわり)


□第30回の内容□
〈テーマ〉「お掃除のプロと共に清掃から考えるSDGs」
〈ゲスト〉グローバル・クリーン(日向市)の代表・税田和久さん、専務・税田倫子さん
〈放送日〉9月21日午後1時から
〈再放送〉9月24日午前11時から、28日午後8時からの2回

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