入札の不調・不落

過去１０年で最多２７３件−１９年度第３四半期・県公共工事

◆人手不足が常態化−要件緩和など対策

　県が実施する公共工事入札の「不調」「不落」が、今年度は昨年１２月までの第３四半期で２７０件を上回り、少なくとも過去１０年間で最多となったことが分かった。各担当課が２３日の県議会各常任委員会に報告した。

　入札不調は応札者が２社以上いないことで、不落は入札額が予定価格を上回るか最低制限価格を下回ることをいう。どちらも契約は成立しない。

　県管理課などによると、いずれも通年で２０１６年度が９２件（発生率５・０％）、１７年度は１３２件（同７・５％）、１８年度は２０１件（同１１・３％）と年々増加。今年度は残り３カ月を残して前年度を上回る２７３件（同１８・３％）に達した。

　業者の人手不足が常態化しつつある中、国の防災減災・国土強靱（きょうじん）化３カ年事業などで、閑散期とされてきた年度末も稼働率が上昇。手持ち工事が多くなる夏から秋はさらに多忙となり、小規模工事や災害復旧工事、山間部の工事などで不調・不落が多発する傾向にある。

　すでに入札参加条件や使用機材の基準、現場代理人常駐義務を緩和。昨年９月からはＣクラス業者に対する最新入札情報のメール配信や応札期間の拡大など対策を追加、１２月からは技術者配置の要件を緩和し、業者の評価基準も拡大した。

　今後はさらに、不調・不落の発生率が高い工事で成績点を追加。不調に伴い随意契約となった工事も実績評価に加算し、入札参加資格をさらに緩和するという。

　担当課に対し、各常任委員会の議員らは、一年を通した公共工事の平準化や十分な予算確保を要請。県側は、引き続き一定期間に工事が集中するのを避け、国の補正予算確保に努めると応じた。