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「感謝して全力プレー」
◆3年生、集大成の夏へ
新型コロナウイルスの影響で中止となった全国高校総体、全国高校野球選手権の県予選の代替となる「宮崎県高等学校特別スポーツ大会2020」の開催が、15日に県から発表された。各競技の特性に合わせて規模を縮小し、今月27日から9月22日まで県内各会場で24競技を行う予定。目標を失いかけていた3年生からは喜びの声が聞かれ、集大成の場となる本番に向けて汗を流している。
7月11日に開幕する野球。延岡星雲高(藤本格校長)野球部の3年生7人は、一人も欠けることなく全員で戦うことを決めた。黒田龍斗主将は「自粛期間に、プレーできることが当たり前じゃないと分かった。野球ができることに感謝して全力でプレーしたい」と目を輝かせた。
この日は森純雄監督の指示の下、準備運動の後にバッティング強化を中心に取り組んだ。「普通の大会はもうないと思っていた。星雲最高記録のベスト8以上を目指せれば」と森監督。3回戦までは休養日も多く「ピッチャー勝負になる。かみ合えばおもしろい」と読んでいる。
日向高(星衛俊一郎校長)野球部の本薗義秀監督は「食事も取れないほど落ち込んでいる生徒もいた。3年生のためにやっていただけてありがたい」と話し、代替大会の開催に感謝した。
◆監督「笑顔で終えて」
昨年の全国高校総体に出場した延岡工業高(安楽耕三校長)ホッケー部(21人)は、8月上旬に大会開催が決まり、具体的な目標が定まったことで今まで以上に気合の入った練習に励んでいる。
吉田蓮央主将(3年)は「節目があるのはうれしい」と晴れやかな表情を見せた。県高校総体の中止決定後、次々とほかの大会も中止されていたため「勝っても負けても試合がないまま終わるのは、やりきれない。せっかく試合ができるのでしっかり勝ちたい」と誓った。
冨山喜正監督は「言葉にはしないが、(試合の中止が相次ぎ)残念そうだった」と最近の部員の様子について話す。3年生5人と話し合い、この大会を最後の大会と位置付けているという。「1月の新人大会以降は県外への遠征もできず、試合に飢えている状態。何とか試合をやらせてあげたいと思っていた。勝ち負けはあるが『やり尽くした』と笑顔で終えてほしい」と語る。
また、開催が発表された24競技に含まれていない少林寺拳法部(11人)の練習場にも、威勢のいい声が響いた。少林寺拳法は競技会はないものの、7月中旬に「演武大会」を開き「形」を発表する場が設けられるという。
岩切吾諭主将は「コロナの影響で中止が決まったときは3年生全員がショックだった」と振り返り「このような機会を用意してもらって感謝の気持ちでいっぱい。今までの練習を生かすことができる」と喜んだ。
◇出場しない3年生も
一方、進学や就職活動などを理由に、代替大会が決まっても出場しない3年生もいるという。
各校では部活動を引退する時期について、部ごとの判断に任せているところが多く、その中でも生徒本人と保護者の意見を尊重するようにしている。
ある県北部の普通科高校では、5月下旬から各部顧問と部員が今後について相談。今月に入ってからの2週間で「お別れ試合」などを実施した部活動が複数あり、部を引退して受験などに切り替えている3年生も多いという。
同校の職員は「通常なら6月前に引退する生徒が多い学校。将来のことを考え、既に引退を決めた生徒は多い。7、8月に大会があっても、大会を目指す生徒は限られていると思う」と話していた。