先輩に憧れ「甲子園に」

県高校野球大会２０２０

◆延岡学園マネジャー内田さん

　「ありがとうございました」。試合終了後、選手と共にスタンドの保護者に向かって頭を下げる。延岡学園唯一のマネジャー、内田葉月さん（３年）の特別な夏も終わった。

　小学４年から「南少年クラブ」で野球を始めた。次第にその面白さにのめり込み、成長。５、６年時には県北の女子選抜チーム「延岡ガールズ」の中心選手として全国、九州大会出場に貢献した。

　南中学校時代は延岡リトルシニアに所属。さらに情熱を注ぎ２０１７年、女子の全国大会の先駆けとなる模擬大会に九州地区代表として臨んだ経験もある。

　選手として没頭し続けたが、本当にやりたいことはほかにあった。同校が甲子園準優勝を果たした１３年夏、当時小学５年生。決勝戦を家族らと生観戦した直後、夢ができた。「延学のマネジャーになって甲子園に行きたい」。

　中学卒業後に迷わず入部し、今度は支える側に回った。午後８時に練習が終わり、自転車で帰宅する日々が続いた。それでも「みんな自分のことは自分でしてくれたので、きついと思ったことはない」。聖地への憧れも原動力だった。

　しかし、コロナ禍により甲子園は中止。「今まで夢に向かってやってきたのに」。心に穴が空いたような気持ちになったが、代替大会の開催が決定し「ここで優勝すればいい」と切り替えた。

　選手たちは熱戦を繰り広げ、準々決勝敗退。「結果は悔しい。でも、九回に追い付いたときはすごくうれしかった。マネジャー１人だったけど、やってよかった」。充実感漂う笑顔を浮かべ、大好きな野球に区切りを付けた。