服用怠ったら…

本紙掲載日：2020-09-01

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九保大薬学部生が物語動画を制作

◆薬飲む大切さ分かりやすく－企業も協力・ＨＰ、動画サイトで配信

　九州保健福祉大学（延岡市吉野町）薬学部臨床薬学シミュレーション研究室（德永仁教授、８人）の５年生３人が、薬の大切さを伝える動画１０本を制作し、研究室のホームページや動画投稿サイト「ＹｏｕＴｕｂｅ（ユーチューブ）」で配信している。中心となって取り組んだ帳智香さん（２２）は「この動画を見ることで『ちゃんと薬を飲まなければ』と思ってくれたらうれしい」と願っている。

　動画では、服用を怠った場合に起こりうる危険を物語形式で紹介。帳さん、河田実優さん（２２）、丸山凜七さん（２２）が台本を考案し、薬剤師が代表を務める株式会社「ファルモ」（東京都）と德永教授の研究を支援する有限会社「イトーヤク」（兵庫県）が、ナレーションやアフレコなどを行った。

　取り上げたのは、糖尿病性の神経障害、網膜症、腎症、高血圧、脂質異常症、骨粗しょう症、緑内障、水虫。子ども向けの疾患として、症状が改善しても継続した服用が必要となる気管支ぜんそく、てんかんにも焦点を当てている。

　帳さんらは２月中旬から台本作りをスタート。病院での実務実習の傍ら、メールやオンライン会議で「専門用語をどう分かりやすく伝えるか」「イラストや図をどのタイミングで見せるのか」などを試行錯誤しながら書き上げた。

　これに２企業がアニメーションを加え、学生を指導した德永教授が修正やチェックを繰り返しながら、１話約３分の全１０本を制作。先月４日から、同研究室のホームページとＹｏｕＴｕｂｅで配信している。

　大人と子ども向けの広報用ポスターも帳さんらが制作。ＱＲコードが添えられており、スマートフォンなどで読み取るとすぐにＹｏｕＴｕｂｅで動画が見られるようになっている。

　ポスターは、同研究室のホームページから無料でダウンロード可能。德永教授は「１０月に札幌市で開かれる学会で、この動画を発表するつもり。多くの薬剤師に知ってもらい、薬局の待合室に掲示してくれたら」と期待している。

　動画は、ＹｏｕＴｕｂｅで同研究室の公式チャンネル「シムラボ」を検索すれば閲覧できる。帳さんは「放置すると命に関わったり、服薬をやめてしまう人が多い傾向にある病気を取り上げた。服薬を怠った際の危険を知ってもらい、きちんと飲む習慣を身に付けてほしい」と呼び掛けている。

　２０１８年４月に新設された同研究室は、全国の薬学部で初めて患者ロボットを導入。これを活用しながら、触診や聴診などの身体診査技術を用いて健康上の問題を査定、評価する「フィジカルアセスメント教育」を実践し、その重要性も全国に発信している。

　また、昨年所属していた学生は薬の正しい知識を知ってもらおうと、薬の種類や正しい使い方、飲むタイミング、薬剤師の仕事などが楽しく学べる「おくすりかるた」を制作。専門職以外の人に薬学を身近に感じてもらうための活動にも力を入れている。