トーゴ共和国大使館・友好協会－相互協定

本紙掲載日：2020-10-01

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協定書を手にする＝左から＝セダミヌ臨時代理大使、十屋市長、金岡会長

日向市の支援金で修復されるトーゴ共和国・アティテコペ村の井戸（日本トーゴ友好協会提供）

五輪ホストタウンの日向市

◆記念事業第１弾－現地の井戸１基を修復

　日向市は９月２９日、来夏に延期された東京五輪・パラリンピックで、同市のホストタウンに登録されているトーゴ共和国（西アフリカ）の駐日大使館や日本友好協会と相互協力協定を結んだ。その記念事業第１弾として、同国内の村に安全な水を供給する目的で同市が約１０万円を資金提供し、１０月完成を目指して壊れた井戸１基を修復することを明らかにした。

　市役所で締結式があり、十屋幸平市長と宮崎大学地域資源創成学部准教授で日本トーゴ友好協会の金岡保之会長の２人が出席したほか、新型コロナウイルス感染症拡大を考慮し、駐日トーゴ共和国大使館のアフォニョン・クアク・セダミヌ臨時代理大使はリモートで参加し、３者が協定書に署名した。

　締結した連携事項は①未来へつなげる人材育成②元気で活力のある産業振興③笑顔で暮らせる安全で安心なまちづくり④多文化共生、国際交流のまちづくり――の四つ。同市が駐日大使館と日本友好協会と連携することで、井戸修復事業や図書寄贈など同共和国への支援事業が可能となり、国が全国のホストタウンに求めている継続した支援「レガシー」や、「ＳＤＧｓ」（国連が定める持続可能な開発目標）の６「安全な水とトイレを世界中に」に貢献することができるという。協定期間は３年間。

　井戸修復事業を実施するのは同共和国のアティテコペ村。首都ロメから約５８キロに位置するアザウンＡＶＥ地区の４００人規模の村。井戸１基を修繕することで新型コロナウイルスの感染予防対策の手洗い用の水として使用できるほか、村の子どもたちは数時間がかりの水くみの労働から解放され、教育を受ける時間が確保できるなどの効果も期待できる。

◇協定、大きな助けに

　金岡会長によると、実施主体は日本トーゴ友好協会と宮崎大学地域資源創成学部金岡研究室。実際に修復作業を行うのは、環境整備や農業活動を行う同共和国のＮＰＯ法人「ＳＤＤ―ＴＯＧＯ」で、現地調査などはすでに終了していることから、１０月初旬から約２週間での完成を目指すという。

　金岡会長が同共和国での井戸の修復プロジェクトを始めたのは２０１１年からで、今回が４カ所目。金岡会長は「３者による相互協力協定で、継続的に人道支援ができることを、十屋市長や市民の皆さんに感謝したい。きっちりと成果を出したい」と感謝した。現地での活動の様子を写真や動画に記録して、同市で報告会も開く計画。

　また、同市は東京五輪・パラリンピックに参加するトーゴ選手団を招き、市民との交流事業の実現に向けて調整も行う。

　調印後、十屋市長は「第２弾として図書やマスクの寄贈なども計画したい。なじみのなかったアフリカやトーゴ共和国との多様な文化交流は、これからの時代を担う本市の子どもたちや市民の皆さんにもとても有意義なものになる」。駐日トーゴ共和国大使館のセダミヌ臨時代理大使は「この協定が相互利益になることを信じている。特にトーゴの地方で苦しんでいる人々の大きな助けや力になる」とそれぞれ期待した。

　両国の交流は２０１７年７月、金岡会長の呼び掛けでセダミヌ臨時代理大使が同市東郷町を訪れた際、「トーゴ」と「東郷」と語感が似ていることに興味を抱いたことがきっかけ。坪谷小児童との交流や道の駅とうごうの視察などを経て、１８年１２月にホストタウンの申請・登録に至った。１９年の３月と８月にはトーゴ共和国の選手や音楽家などが同市を訪問し、市民と交流を深めた。