原因解明、再発防止策など要請

本紙掲載日：2020-12-11

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事業所火災で旭化成に－延岡市

　延岡市中川原町の旭化成の関連会社「旭化成マイクロシステム」延岡事業所で１０月に発生した火災について、市は旭化成延岡支社に対して「原因の解明と再発防止策」などを要請したほか、市消防本部が火災予防対策の徹底を指導したことを明らかにした。開会中の市議会一般質問で答えた。

　市によると、要請内容は①火災の原因および長時間燃え続けた原因の解明と再発防止策②火災により発生したガスの物質について、科学的な根拠に基づき市民の人体や生活環境への影響の説明③健康への不安や医療機関への受診に関する相談窓口を設け、今後も継続的に対応すること④今後、人体に影響しうる有害物質が検出されるなどの被害が生じた場合は速やかに説明すること―の４項目。答弁した有野公教市民環境部長は「旭化成側からは誠実に対応する旨の回答を得ている」と述べた。

　市消防本部の深田勇志消防長は、設備などの老朽化や劣化、安全面の再点検や再調査に関する質問に対して、「消防としては１１月１９日、旭化成延岡支社に対して文書により自主防火管理の推進や危険物等の管理の徹底など、火災予防対策を徹底するように指導を行った」と答えた。

　火災では周辺地区に異臭や煙が広がり、市に健康被害を心配する声や問い合わせがあった。住民への影響を問われた有野部長は「火災発生直後の１０月２０日から１０月２３日までの市への相談は７７件あった」と答弁。影響範囲については、電話をかけてきた市民の住所から東は大武町、北は桜ケ丘、西は行縢町、南は緑ケ丘と広範囲に臭いが届いていたことが分かったという。苦情への対応については「健康被害を心配し、懸念する声もあったので、旭化成延岡支社に情報を提供し、延岡支社が個別に対応していただいた」と説明した。

　火災の原因について深田消防長は、「火災は工場の３階、あるいは４階から発生したものと考えているが、工場内の環境整備に時間を要していることから、先月から今月までにようやく１階と２階の火災調査が実施できたものの、まだ原因は判明していない」と説明。「３階より上階の調査環境が整い次第、順次、警察と共に火災原因の調査を進めたい」としているが、原因特定の見通しについては「立っていない状況」と述べた。