向洋錦帯橋、形が見えた－延岡工業高

本紙掲載日：2020-12-15

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プロジェクト２年目－橋桁と橋台できる

◆いよいよ来年完成

　県立延岡工業高校（延岡市緑ケ丘）の土木科が、３カ年計画で木造アーチ橋を校内に設置する「向洋錦帯橋プロジェクト」が２年目に突入している。橋桁の部材を作った１年目に続き、今年度は校内外からの協力者も加わって橋桁の微調整や橋台の製作を実施。実際に組み上げて強度に問題がないかなどを確認した。各年度の３年生が引き継いで完成を目指している橋が形を現した。

　同プロジェクトは、日本を代表する木造アーチ橋「錦帯橋」（山口県岩国市）と旧校名にちなんで名付けられた。

　作っているのは２連のアーチ構造で、全長（直線）１３・２メートル、高さ１・６メートル、幅９１センチ。本物は５連のため長さは縮尺が異なるが、高さや幅は約５分の１という。２０１９～２１年度の３カ年計画で、完成した橋は同校正面玄関前ロータリーにある水槽に設置する。

　２度目の同校勤務をしている土木科の木村千文教諭の発案で、３年生がグループに分かれて取り組む課題研究の一つとして昨年度からスタート。

　１年目は６人が専用の測量機器を使って水槽周辺の高さや長さなどを割り出し、パソコンでの全体図や原寸図を作成することから始めた。最も時間を要する木材の加工にも着手し、７２本の橋桁の部材を切り出して細かな加工を施した。

　２年目の課題研究班は、班長の加行秀さん、副班長の工藤亮弥さん、班員の松比良聖さん、幸﨑朋仁さん、佐藤隼さん、吉田蓮央さん、今村優太さんの７人。

　１年目で作られた橋桁を実際に組み上げた際に、縦軸と横軸の橋桁がしっかり組み合うよう微調整。全体的なバランスが重要となるため、作業中は班員同士で声を掛け合いながら根気のいる作業を繰り返した。

　加行班長は「かみ合わせの加工が大変。細かく微調整するので一つ一つに時間がかかったが、みんなで声を掛け合いながら楽しく作業ができた」と振り返る。

　２本のアーチを支える橋台部分は、部活動の「土木部」（甲斐隆希部長、５人）が協力。初めて使う工具もあったそうだが、中央と両端の計三つの橋台を作り上げた。甲斐部長は「最初はどうなるのか分からなかったが、実際に形になると達成感がある」と手応えを感じていた。

　校外からも協力があった。何人もの卒業生が就職している山田工業（大武町、山田耕一社長）が、橋桁を固定する金具「巻金」を製作し、１２８枚を学校に届けた。

　７日には、これまで作った部材を使って実際に組み上げた。水槽に２連のアーチが出来上がると、生徒たちも満足そうな表情を見せていた。工藤副班長は「橋台は土木部が手伝ってくれたし、橋桁も自分たちで加工して、いい作業ができた。完成が楽しみ」、加行班長も「最後の仕上げが一番大切。次の人たちも協力してほしい。いい錦帯橋が見られるといい」と楽しみにしていた。

　橋はいったん取り外し、来年度は橋台への階段の設置や塗装、手すりの設置などを行う。来年のクリスマスまでの完成を目指しており、完成後はライトアップして展示するという。

　錦帯橋国指定の名勝であり、日本を代表する木造橋。１６７３（延宝元）年に岩国３代領主の吉川広嘉が現在の橋の原形となる木造橋を架けたが、錦川の洪水によりすぐに流出。改良を加えて翌年に再建された橋は１９５０（昭和２５）年の台風２９号（ギジア台風）による洪水で流出するまで２７６年間威容を保った。市民の強い希望で５３（同２８）年に再度、木造の橋として再建。劣化した木造部分を架け替える事業も行われている。橋の長さは橋面に沿って２１０メートル、直線で１９３・３メートル、幅は５メートル、橋台の高さは６メートル。