椎葉神楽保存連合会、活動をたたえる

伝統文化ポーラ賞地域賞の贈呈式−県庁

　第４０回伝統文化ポーラ賞に輝いた椎葉神楽保存連合会（尾前秀久会長）への贈呈式が２２日、県庁で行われ、長年の保存・継承活動をたたえた。

　ポーラ賞は化粧品業界大手のポーラを主体とするポーラ伝統文化振興財団（小西尚子理事長）が、日本無形伝統文化の保存・振興を目的に今後も活躍が期待できる個人・団体を顕彰。節目となる今回は全国から８組が選ばれ、椎葉神楽保存連合会は地域賞（５組）に輝いた。

　椎葉神楽は村内２６地区で受け継がれている神楽の総称で、国の重要無形民俗文化財に指定された１９９１年に保存連合会を設立。過疎や高齢化が進む中、学校と地域が一体となった子どもへの指導や、村を挙げての「椎葉神楽まつり」開催などを通じ、地区ごとに舞や衣装、太鼓の調子などが異なる神楽の伝承に尽力している。

　贈呈式で小西理事長は、日本各地で伝統的な祭礼や行事の継続が困難となる中、いち早く活動を開始した保存連合会をたたえ、「椎葉神楽そのものの価値とともに高く評価し、情熱に感嘆します」と称賛。来賓の河野知事も「本県を代表する神楽をしっかりと受け継いでもらいたい」と激励した。

　尾前会長は、神楽が廃れ地域がなくなっていくのを見過ごせず有志が立ち上がった発足当初からを振り返り、神楽を指導した子どもたちが今は親になってわが子らに伝えていると報告。現実にはどの地区も厳しい状況としながらも、今回の受賞を「誰かが見てくれる、思ってくれることが次につながる。これからの継承に向け大きな光を当ててもらった」と感謝し、決意を新たにしていた。

　贈呈式は例年、全受賞者・団体を招き一堂に会して実施しているが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、本県に小西理事長が出向いて開催。式典に続いて椎葉の子ども神楽が披露されたほか、夕方からは同所で尾前神楽保存会による公演も開かれた。