八興運輸の海外法人に−商工中金と宮銀が協調

初の信用状発行

　商工組合中央金庫は２１日、八興運輸（本社・日向市船場町、三輪亮介社長）のシンガポール法人「Ａ＆ＪＨＡＫＫＯＰＴＥ・ＬＴＤ」が現地の北國銀行から融資を受けられるよう、宮崎銀行との協調による初のスタンドバイ信用状を発行したと発表した。

　同信用状は現地金融機関からの直接借入が困難な中小企業に対し、商工中金が地域銀行などと連携して円滑な資金調達を支援するのが目的。宮崎銀行とは今年９月に締結した「国際業務における連携・協力に関する覚書」に基づく初の協調案件となる。

　八興運輸は海運から荷役作業、陸上輸送まで一貫した物流サービスを提供。自社船舶や専門車両を多数そろえ、全国に独自の航路を開拓するとともに、中国や韓国とを結ぶ定期航路の代理店業務にも取り組んでいる。

　現地法人は２０１１年に設立した同社の１００％子会社で、輸出入、倉庫管理、配送、食品卸売販売の各事業を展開。冷凍倉庫には２０００パレットを超える保管スペースを確保しており、自社冷凍トラックを活用することで、日本から低温で一貫して配送できるコールドチェーンを確立している。

　商工中金によると、同現地法人は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う巣ごもり需要で、日本産食材、製品の人気が拡大していることから、増加する運転資金の調達を検討していたという。同信用状による直接借入で為替リスクの回避やグループ間の資金効率化に加え、現地法人の経営の独立性も高まるとしている。

　一方、宮崎銀行は同現地法人にクロスボーダーローン（現地貸付）による直接融資も実行。融資額は同行、北國銀行とも非公開としている。

　今回の融資支援に際し、商工中金は「今後も関係機関や海外金融機関と連携しながら、中小企業の海外における金融ニーズに積極的に対応していく」。宮崎銀行も「引き続き、お客さまの幅広いニーズにお応えし、さらなるサービスの拡充に努めたい」としている。