２０２１年新春インタビュー（２１）−米良充典県観光協会会長

アフターコロナに備えて布石

◆宮崎の魅力、しっかりと形に

−−新型コロナウイルスの感染拡大で県内観光はどれほどの影響を受けたのでしょうか。

　昨年３月からの県内感染拡大、全国への緊急事態宣言発令で５月７日時点の宿泊キャンセル数は累計３４万５千人泊を超え、４、５月の客室稼働率は前年比約４６％減と最も悪化しました。

　６月以降は県民向け宿泊プランや各市町村の取り組みもあり、同稼働率は全国よりも高く推移しましたが、７、８月と感染拡大が続き、大変厳しい夏となりました。

　９月以降、教育旅行やＧｏＴｏトラベルに対応した観光誘客を強力に推進し、１１月には前年比１０８・３％を記録するまで回復することができましたが、１１月末ごろから再び本格的な第３波の流行が始まりました。

　ＧｏＴｏトラベルも一斉停止となり、１２月１５〜２４日の県内宿泊キャンセル数は、把握できただけで約４万２千人泊にも上り、再び先行き不透明となっています。

−−国や県にどのような支援策を求めますか。

　昨年５月が落ち込みの底でしたが、県・市町村事業、ＧｏＴｏトラベルなどで客室稼働率は全国平均より高い水準で回復し、一定の宿泊需要は喚起されたと考えられます。事業延長を含め、次年度以降も観光業界への息の長い支援をお願いしたいと思います。

　ただ、リゾートホテルの回復が顕著で、特に高級宿泊施設に需要が集まりすぎる傾向が強かった半面、シティホテルの稼働率の回復は遅れました。また、制度の周知不足や、割引分の支払いの遅延などに関する話も聞かれました。これらの宿泊事業者・旅行業者の声にも耳を傾け、よりよい形を目指してほしいというのが、県内関係者の願いです。

−−今後の県内観光はどうなると感じていますか。

　今後もウィズコロナが続くと想定されるため、感染防止対策の徹底が大前提となります。お客さま、従業員を守るためにも、各業界団体がガイドラインを順守する必要があります。

　日南市や高千穂町のように、感染防止対策を「見える化」する取り組みも考慮する必要があり、当協会としてもホームページで、こうした取り組みを情報発信しているところです。感染状況に応じ、県内から隣県―九州―全国へと段階的に誘客を進めていきますが、「スピード感」と「機動性」がキーワードとなります。

　より細やかに、各観光協会や観光関係業界の声に耳を傾け、実状を把握し、共に地域や業界の抱える問題を解決しながら、アフターコロナに備えて、布石を打っていきます。

−−明るい材料はありますか。

「都道府県幸福度ランキング」で本県が１９、２０年と２年連続、全国１位となりました。また、「じゃらん宿泊旅行調査２０２０」のテーマ別魅力度ランキングも、３テーマでベスト３、７テーマでベスト１０入りしました。「宮崎が持つ宮崎ならではの魅力」をしっかりと形にし、これからも工夫して情報発信、観光誘客につなげたいと思います。