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延岡離れる画家・近藤庸矢さんインタビュー

本紙掲載日:2021-04-03
7面

絵画はいつも美しくなくてはならない

◆「思い出限りなく」

 延岡市にあったアヅマヤ百貨店の元商業デザイナーで、同市の絵画グループ「ポン・ヌフ」を長年指導してきた画家・近藤庸矢(こんどう・つねや)
=日向市美々津町出身、延岡市南町在住=が、高齢のため来月、長年暮らしてきた延岡の地を離れる。これまで独学で描き続け、今も日々キャンバスに向かい、新たな表現を追求し続ける近藤さんに、アヅマヤ百貨店時代の思い出や創作のモットー、現在の心境を聞いた。


−日向市美々津町のご出身なのですね。

 そうです。実家は材木商で、そろばんの玉になる特殊な材木を製材し、関西方面へ出荷していました。僕はそこの五男として生まれました。
小学5年生ごろだったと思います。九州一円で絵の募集があり、僕が描いた絵が特選に選ばれました。それから病みつきになって絵を描くようになりました。

 近所の人の目を気にした母は「どこか遠くで描いておいで」と、よく弁当を持たせてくれました。リュックを背負って、朝早くから夜遅くまで、時にはバスに乗ってあちこちスケッチに出掛けました。さすがに「絵をやめろ」とは言わなかったですね。

 絵を描くこと以外は能がない男で、「もっと何かないか」と考えて考えて、それで今も描き続けているわけですが、これはもう、僕に課せられた因果と言えば因果でしょう。

−どのような経緯でアヅマヤ百貨店に入社されたのですか。

 アヅマヤに入ったのはちょうど30歳の時です。それまで実家の材木商を手伝っていましたが、どうも合わなくて。ある日、新聞の広告でアヅマヤが美術部の社員を募集しているのを知って「あ、これだ」と思ったわけです。

 絵は独学でしたが、応募したら採用になりました。美術部といっても、社員は初め僕1人だけ。倉庫のような部屋が仕事場でした。グラフィックデザインの技術が必要でしたので、これもまた独学で続けてきたわけです。

 広告デザインの他、ウインドーデザインなどを任されました。中でも大きな正面のウインドーは1週間もしくは2週間に1回、デザインを変えなければならず、休みなんてありませんでした。

 木材にかんなをかけたりと、大工さんのような仕事もするわけです。どのデパートでも美術部は休みなし。それが当たり前の時代でした。そんな中、九州内のデパートの美術部の集まりで年1、2回は研修旅行に出掛けていました。仲間からは「近(こん)ちゃん」と呼ばれていました。そういう楽しいこともありましたね。

 在職中の1986年には、第16回九州グラフィックデザイン展で大賞を受賞しました。働きながら腕を磨き、グラフィックデザインを学んだことは、僕の絵画に大きなプラスになりました。美しい色彩、安定した構図、洗練されたデフォルメ。僕の絵画にはグラフィックデザインの技術が生かされていると、はっきり言うことができます。

−アヅマヤ百貨店時代に印象的だった仕事はありますか。

 いつだったか、アヅマヤの催事場にミイラを展示したことがありました。長野県のお寺に保管されていたお坊さんのミイラです。そのディスプレーを担当することになり、当時の常務と2人で直接お寺に出向き、何体かお借りできることになりました。

 背景に長野県の風景を描いて、その前に木の柱を立てて白い布をまとわせ、その下にミイラを並べたような記憶があります。異様な展示でしたが大盛況で、来場された皆さん、ミイラに手を合わせておられましたね。それが印象に残っています。他に自衛隊の戦闘機を展示したこともありましたね。

−62歳でアヅマヤ百貨店を退職し、その後、絵画グループ「ポン・ヌフ」を指導されるようになります。

 退職後、僕の作品をご存じだった大坪眞佐子さん=延岡市中町の「チムニー」オーナー=から、お店の広告デザインやウインドーデザインを頼めないかと声を掛けていただきました。

 そうこうするうち「せっかくですから画塾でも開きませんか」と話をいただきました。大坪さん、久保ケイ子さんら何人かで「ポン・ヌフ」が結成され、僕が指導するようになりました。

 「ポン・ヌフ」はフランス語で「新しい橋」という意味ですが、実際はフランスのセーヌ川に架けられた古い橋です。グループは2017年に結成30周年を迎えました。中には親子3代で通ってくれた会員もいます。

 皆さんには、僕が離れても「ポン・ヌフ」は続けてほしいとお願いしています。なくなったら僕自身、寂しくなるなと。「月に1度は絵を見に(延岡に)来るから」と約束しています。

−創作で大切にされていることは何ですか。

 「絵画はいつも美しくなくてはならない」というのが僕の創作のモットーです。絵画は人の心を慰め、ほっとさせるもの。だから美しく、優しくなくてはいけないのです。

 激しい絵を描くこともありますが、僕の絵にはどこかに優しさがあるそうです。だから僕の性格が優しいのかといえば、大変やかましい人だと言われることもあります。特にアヅマヤ時代、取引相手の業者さんや部下には、そう思われていたでしょうね。今も大坪さんとは、しょっちゅう口げんかをします。怒られてばかりですよ(笑)。

−来月、息子さん夫妻の暮らす宮崎市佐土原町に移られると聞いています。延岡を離れることに寂しさはありますか。

 もちろんです。長くいましたから思い出は限りなくあります。ですが、この年齢ですし、一人で勝手に生きていくわけにはいきません。そうする以外にはないのです。

 絵描きというのは目も使うし頭も使うし、本当に因果な仕事ですよ。それでも「もっと何かないか」と、つれづれなるままに描き続けているわけです。
絵を描くということは、結局自分一人しかいないということ。自分が勉強する以外にはないのです。延岡は離れますが、絵は僕から離れない。おそらく棺おけに入っても、中からこうやって(額に手をかざして)きれいな風景を見るでしょうよ(笑)。

◇ありがとう近藤先生
5日から弟子2人展、26日から「ポン・ヌフ」合同展

 近藤さんが長年指導してきた延岡市の絵画グループ「ポン・ヌフ」(高森拓夫会長、12人)は、近藤さんへの感謝を込めた絵画展「ありがとう近藤先生」を二つ企画している。

 一つ目は、グループ結成時からの会員である大坪眞佐子さん(70)=同市大貫町=と久保ケイ子さん(79)=同=による弟子2人展で、5〜10日に開く。

 絵画展のタイトルについて「『さよなら』は寂しいので『ありがとう』にしました」と大坪さん。「先生の追求し続ける姿勢にはいつも頭が下がる思いです。これからの生活に先生ご自身が一番不安を感じていると思いますが、ご自分に言い聞かせるように『また会いに来るから』と私たちにおっしゃいます。不変ということはあり得ないと、分かってはいるのですが」と涙ぐむ。

 久保さんは「私にとっては最初で最後の個展です。これまでずっと断り続けてきましたが、先生が延岡を離れると聞き、引き受けることにしました。先生は初めて会った時から今も変わらず、いつも本を広げていらっしゃって、勉強家で、先生の美しく優しい絵が好きでした。追い掛けていきたいくらい(別れが)つらいです」と言葉を詰まらせた。

 二つ目は会員12人と近藤さんの合同展で、26日〜5月8日に開く。近藤さんが現在制作中の50号の大作も展示される予定。同グループは、「絵を続けてほしい」という近藤さんの思いに応え、解散せずに今後は会員のみで活動していくという。

 弟子2人展、合同展はともに、同市中町のアートギャラリーマサコ(チムニー1階)で午前10時〜午後6時。日曜日と5月3〜5日は休み。入場無料。問い合わせ先はチムニー(電話延岡21・8338)。

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