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生活の中にある美(22)−県北の土木構造物

本紙掲載日:2021-05-18
7面

鐘の形のクレーンカバー

◆西郷ダム(美郷町西郷)

 美郷町西郷小原の西郷ダムは、堤高20メートル、堤頂長84・5メートル、国内最大級のローラーゲート(幅約18メートル、高さ約10メートル)を備える重力式コンクリートダム。2011年から約6年6カ月にわたって改造工事が行われ、今の姿に生まれ変わった。

 旧ダムは1926年に着工。馬車で資材を運搬しながら建設が進められた。完成したのは3年後の29年。耳川水系にある8基のダムのうち最初に誕生し、同年12月に発電を開始した。

 2005年9月の台風14号で甚大な被害を受けたことで、改造工事に着手。従来の構造では、洪水時の土砂を通過させられなかったため、通砂機能を加えた。約90年経過したダムの改造工事は、全国初だったという。

 特徴は、設備点検用のクレーンが収納されている鐘形のクレーンカバー(高さ約3メートル、直径約4メートル)。名前を公募し、429通の中から「永遠(とわ)の鐘」と名付けられた。通路橋「永遠の橋」も建設されており、間近で見ることができる。

 広場には、クレーンカバーを10分の1に縮尺した本物の鐘が作られている。ダム本体から切り出したコンクリートで作ったベンチ、ダムの歴史を記したパネルも設置されている。



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