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音楽の灯をともし30年そして、これから(4)

本紙掲載日:2021-06-08
6面

談話でつなぐ延フィル愛

◆ドイツ音楽注ぎ込んだ今村さん−情熱持つ団員、一人でも増やしたい

◇アドバイザー・松原正幸さん(68)=延岡市大貫町=

 トロンボーン奏者として読売日本交響楽団に20年間在籍し、退団後に帰郷しました。延岡フィルとは2001年に上演された市民ミュージカル「ウズメ2001」で製作委員長を務めた時からの関わりです。その後、延岡ジュニアフィルハーモニー(活動休止中)の指揮者や、「ひむかオペラ」では延フィルの副指揮者を務めていますが、基本的には運営面の課題や演奏会の曲目に助言するなど、延フィルを外から見守る立場です。

 そのため客席から演奏を聞くことが多く、最近だと18年の定期演奏会、今村能(ちから)さん指揮によるブラームスの「交響曲第3番ヘ長調作品90」が印象に残っています。あれほどドイツ音楽のエッセンスを注ぎ込める指揮者はなかなかいないでしょう。

 延フィルは団員が少ないため、演奏会にはたくさんのエキストラが入ります。招かれた指揮者は、そういう万全ではない状況を把握し、その中でいかにいい演奏ができるのか一生懸命に考え、引き出すために努力します。その集大成が演奏会という形で表れます。その経験は毎回、団員にとって驚きであり喜びであり、モチベーションアップにつながります。団員自身が市民オーケストラを続けていく大きな意義にもなっています。

 僕は団員と一緒に演奏するわけではないので直接的な力にはなれません。ですが、クラシック音楽に足を踏み込むと奥深い楽しみが絶対にあります。情熱を持つ団員を一人でも増やしたい。そして延フィルのファンを増やしたい。その役に立ちたいと思っています。

◆だまされたつもりで結団式に−取り戻せない演奏会、一つ一つが貴重

◇初代コンサートマスター・後藤佳也さん(54)=宮崎市=

 宮崎市出身で、宮崎ジュニアオーケストラ出身です。宮崎大学の特別音楽教員養成課程でバイオリンを専攻しました。現在は協力団員としてビオラを担当しています。

 中学校の音楽教諭として働き始めた1989年の冬、都農町にあった自宅の留守番電話に「ごっつん(後藤さんのニックネーム)、延岡にオーケストラができるらしいよ」とメッセージが残されていました。大学の同級生からでした。30年前の延岡は大学も高速道路もなく、〃陸の孤島〃でしたし、人口も宮崎市ほど多くありません。「何を夢みたいなことを言っているんだろう。何かの冗談だろう」と、そのまま放っておきました。そしたら、もう一度電話がかかってきて「とりあえず結団式に来て」と言われ、翌90年1月、だまされたつもりで結団式に参加しました。

 入団後間もなくコンサートマスター(=コンマス)を任され、その後、25年間務めることになりました。当時23歳でしたが、若かった僕を他の団員の皆さんがよく支えてくれました。今振り返るとありがたかったなと思います。コンマスという立場上、設立から約10年間は、ほとんど練習を休めませんでした。赴任地の都農町や五ケ瀬町などから延岡まで通いましたが、途中、渋滞にはまってしまって片道2時間かかる時もあり、きついなと感じることもありましたね。同時に設立から約10年間、地域の人に延フィルを宣伝するため、弦楽器の団員で「延フィル弦楽四重奏団」を結成して地域を回りました。「ゆめの木文庫」の開館式、五ケ瀬ライオンズクラブの記念式典、延岡おやこ劇場の記念パーティーなど、いろいろな場で演奏させてもらいました。懐かしい思い出です。

 一番印象に残っている演奏会は、94年2月の第5回定期演奏会です。初日は県立芸術劇場、2日目は延岡総合文化センターを会場に、末廣誠さんの指揮でブラームスの「交響曲第1番ハ短調」を演奏しました。椛山達己先生が延フィルの5年後の目標に掲げていた「プロの指揮者を招き宮崎市で遠征公演」が実現したのです。第2楽章でコンマスのソロがあり、とても緊張したのを覚えています。

 これまで18回開かれてきた延フィルの定期演奏会のうち、第18回を除く17回に参加してきました。無理をすれば第18回も参加できたのかなと思うことが今もあります。でも、その時間はもう取り戻せません。美術品は永久に楽しめますが、演奏している瞬間はその場にしかありません。だからこそ演奏会一つ一つが、とても貴重なのだと感じています。


◆「白鳥」は肝油の記憶−賛助会、抜本的に考えるチャンス

◇賛助会会長・上田耕市さん(67)=延岡市幸町、虎彦社長=

 妻・明美(67)が延フィル初期の団員で、クラリネットを担当していました。「お母さんの演奏を聞きに行こう」と子どもたちを連れて、よく演奏会に足を運んでいたものです。

 僕自身のクラシック音楽との出会いは、今でもはっきりと覚えています。岡富幼稚園に通っていた時です。当時、幼稚園で肝油をなめる時間が設けられていたのですが、その時に流れる曲がサンサーンス作曲の「白鳥」でした。流れ始めると、子どもたちはみんな目を閉じて口を開け、肝油を入れてもらい、それをなめながら聞いていました。僕にとって「白鳥」は、いつどこで聞いても肝油の記憶なのです。

 僕はオーケストラの演奏を聞くと、こんなぜいたくは他にないと感じます。何十人もの団員が一糸乱れぬ演奏で、聞く私たち一人一人の心に音楽を注ぎ込んでくれる。これはすごいことです。

 賛助会の会長は僕で5代目です。会員は年会費(一口1万円から)を払い、延フィルを資金面で支援します。会員数は現在、66個人法人。決して多くはありませんが、僕は、今いる会員の皆さんに、延フィルを応援している自分のことをもっと好きになってほしいと思っています。会員の皆さんに「この曲のこの音符二つ、三つくらいは役に立てているのかな」と思ってもらえる何かが必要です。そのために、団員の皆さんにも考えてほしいのです。

 現在、会員には延フィル主催コンサートのチケットプレゼントや、会員限定コンサートへの招待などが特典として行われていますが、それだけではなく、僕は「あなた一人のためだけの特典」があってもいいのかなと思います。例えば会員の誕生日に、その会員だけのために録音した曲をメッセージと一緒に郵送で届ける。支えてくれる会員のために、どれだけ心を尽くせるか。30周年は、そういうことを抜本的に考えてみるチャンスかもしれません。



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