瀬戸口が強烈本塁打−延岡工

第１０３回全国高校野球選手権宮崎大会

◆マウンドも最後まで

　「お前しかいない」―。打っては本塁打を含む４安打３得点。投げては五回無死一、二塁から救援し、力投を続けた延岡工の主将瀬戸口。岩崎監督の全幅の信頼を背に腕を振ったが「打たれて負けた。悔しい」と敗戦を受け止めた。

　初戦は二塁打２本の強打の２番。勝者が今夏の台風の目になりそうな２回戦でも、１３０キロ中盤の相手主戦を打ちまくった。

　「差し込まれずに前で」。独自のスタイルで昨夏は４強。この試合では、初回からさらなる進化を見せた。「延岡工には変化球で」。相手の対策も理解した上で、追い込まれたら、引きつけて見極める。四球を絡めて、リードを奪った。

　圧巻だったのは、七回１死１ボールから瀬戸口。「真ん中の甘い真っすぐ。振り抜いた」。強烈なライナーは右翼席の中段に突き刺さった。

　異変は直後の八回。それまでにダイヤモンドを３周した影響か、右足にけいれんの予兆。それでも主将の背番号１は、追い付かれても勝ち越されても、マウンドに立ち続けた。

　「突出した選手はいないチーム。打撃を磨き続けたことで成長でき、夏は覚悟を持って振り抜くことで好投手に対応できた。次は自分たちを超える打撃を身につけ、甲子園に」。２試合で長打３本含む６安打。飛び抜けた成績を夏に残した。


◇打撃を自信に−岩崎監督
「勝ちきれなかったのは自分の責任。３年生が素直にやりきってくれたことで、打撃は去年より上のステップにいけた。社会の中でも自分で切り開かないといけない場面が来る。この打撃を自信にしてほしい」


◇いいチームだった−神戸（先発し３回１失点）
「結果は悔しいけど、仲間に守ってもらえて、自分たちの打撃ができた。持ち味の制球で、後につなげるため全力で投げた。いいチームだった」


◇もっと上位を−松葉（捕手。初回に適時打）
「初回は追い込まれたが、逆方向を意識して打てた。だが、流れを止めてしまい、防げた失点もあった。申し訳ない。２年生は気持ちが強い。もっと上位を目指してほしい」


◇打ち勝つのが延工−黒木（３番で２安打）
「楽しくできたが、最後の打席でボール球に手を出してしまった。初球からいって、打ち勝つのが延岡工。後輩は、先生の指示を聞けば、勝てる」


◇次は勝つ−池辺（５番で２打点の２年生）
「３年生と試合ができてよかった。追い込まれるまでは前で強く振り、追い込まれたら粘る。初回からいい攻撃はできた。このチームの良さは明るさ。新チームは明るさを受け継ぎ、次は勝つ」