地域格差のない支援を－県に要望

本紙掲載日：2021-11-15

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重盛県障がい福祉課長（左）に陳情書を手渡した長曽我部会長（右）と、鈴木さん（中央）、風那さん

医療的ケア児「日常を守って」

◆宮崎市と日向市保護者２団体

　宮崎市と日向市の障害がある人の保護者２団体は１２日、河野知事宛ての陳情書を県の担当者に手渡した。地域格差のない入浴や通院介助の支援を要望し、今年９月に施行された「医療的ケア児支援法」を受けた県の対応を聞いた。

　陳情したのは宮崎市の医療的ケアを必要とする子の親の会「四つ葉の会」（長曽我部陽子会長）と、障がい児者の親の会「ｔｅとｔｅの会」（甲斐麻央会長）。

　日向市の団体からは鈴木美香さん（４３）が参加。鈴木さんは長女の風那さん（２１）とともに県庁へ訪れ、会員の声として、１８歳を超えると、週５回だった訪問入浴サービスが週３回になることや、体調不良などで通院した際、病院内では介助サービスが受けられないという実情を説明した。

　「介助なしでの入浴は難しく、床擦れや清潔面で不安を持つ家庭も。院内介助がないために、通院をためらう場合もある」という意見を伝えた。

　また、四つ葉の会は、支援法の中で、都道府県に設置が促されている「医療的ケア児支援センター」の検討状況を聞いた。

　県障がい福祉課の重盛俊郎課長は、訪問入浴サービスについては、県内２６市町村中１３団体で未実施と説明。通院介助も含めて「国の見解も確認し、可能なら各自治体が柔軟に対応できるよう助言、情報提供を行っていきたい」と答えた。

　また、支援センターについては、「設置の形態、体制などの検討を進めている。現時点での相談などは、市町村や県で受けられるよう体制を整えている」と回答。「県内全域で医療的ケア児・者が安心して暮らせるよう各自治体と県が密に連携を」との声には、今後も当事者との定期的な意見交換を行っていきたいとしていた。

　両会が県の対応を求めた要望などは次の通り。

【医療的ケア児支援法施行を受けての県としての取り組み】
①支援学校卒業後の行き先（居場所）が県全体に不足しており、市町村への指導助言を②現場で働ける戦力となる人材育成のための講座や研修などを県主催で開催を③在宅のあらゆる医療的ケア児を受け入れることができるように子ども療育センターの設備改良、小児科医の配置を④医療的ケア児が「者」になった後も途切れない支援体制の構築を⑤他県の先進的な取り組みを参考に本県でもできる取り組みを探ってほしい

【支給される支援の内容・利用の地域格差をなくしていくため、県として各自治体の調査、指導、助言を＝特に以下の３点】
①入浴支援＝生活介護へ移行した後も週５、６日入浴可能な支援体制をお願いしたい②通院介助＝医療的ケア児は院内での介護も必要。そこを公費負担にしてほしい③移動支援＝障害児も対象に