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延岡工業高土木科３年生が代々製作
◆３年がかりの大プロジェクト
錦帯橋（山口県）５分の１の本格木造アーチ橋
延岡市の県立延岡工業高校（安楽耕三校長、７１０人）土木科が、緑ケ丘の校内に３年計画で製作していた木造アーチ橋「人が渡れる向洋錦帯橋」が今月、完成した。１３日には関係者らが出席して「開通式」があり、完成を祝った。
旧校名の「向洋」と、日本を代表する木造アーチ橋「錦帯橋」（山口県岩国市）を組み合わせて名付けたプロジェクトは２０１９年、正面玄関前ロータリーの水槽を生かそうと、２度目の同校赴任だった木村千文・土木科教諭（５３）の発案で、３年生が班別に行う課題研究の一つとして始まった。
錦帯橋をモデルに、橋桁だけで１００本以上ある橋を一から作る壮大なプロジェクト。木村教諭は３年目のクリスマスまでの完成を目指し、計画を組んだ。
１年目は生徒６人が測量、パソコンを使った全体図や原寸図の作成から始めた。最も時間が必要な橋桁の部材の切り出し、加工も行った。
２年目は７人が、橋桁の残りの部材作りとニス塗装をした後、橋桁を試験的に組み上げ微調整。土木部の部活動生が２本のアーチを支える両端と中央の橋台三つを作った。
そして３年目の今年は１４人が参加。実際に人が渡る橋の階段や手すりを製作し、先輩たちが作った部材を組み上げて固定。ライトアップのための照明器具も設置した。校外からの協力もあり、橋桁を固定する金具「巻金」１２８枚は山田工業（大武町）が製作。夜間に橋を照らす照明器具の設置は中城電設（川原崎町）が助言した。
開通式には３年生全員の３８人と、山田工業の長野秀樹さん（５２）、中城電設の�謀追匚�さん（５１）、卒業生でプロジェクト１期生の増田凜華さん（２０）、甲斐拓海さん（２０）、山��彪誠さん（１９）、２期生の加行秀さん（１９）らが出席。テープカットを行った。
完成した橋は全長が直線で１３メートル、高さ２・１メートル、幅９０センチ。高さや幅は、５連構造である本物の約５分の１で設計した。渡り初めでは、出席者が一歩ずつ感触を確かめるように渡っていた。
今年の班長の森山直哉さん（１８）は「設計図通りに組み立ててもひずみが出るなど難しかったが、組み立て終わり達成感があった」と笑顔。
３年生は今年、新型コロナウイルスの影響で修学旅行先が中国四国地方に変更になったこともあって、本物の錦帯橋を見に行ったという。副班長の酒井泰知さん（１７）は「実際に見てイメージが膨らんだし、新発見もあり、製作に生かすことができた」と話した。
増田さんは「完成形が見えず精神的にきつかったが、土台となる部分が作れて良かったと思う。正門から一番最初に見える場所なので定期的にメンテナンスをして長く見てもらえれば」、加行さんは「塗装が主だったが、人が渡れるのか半信半疑だった。実際に見てすごいなと思ったし、貢献できて良かった」と話した。
「１２年ぶりに赴任したとき、（水槽が使われておらず）真ん中に穴が空いたような感じがしていた。思い出深い水槽にシンボルを作ることができて良かった。３年間楽しく活動できた」と木村教諭。ライトアップは今月２７日ごろまで。点灯は午後５〜１０時。