ココカラＳＤＧｓ－第１８回「ＳＤＧｓって今どうなの？」

本紙掲載日：2022-09-21

6面

◆女性の自立、経済動かす原動力に－税田さん
◆愛あるからこそできること－新名さん
◆自分の責任、これからも旗振り続け－難波さん

　今注目のＳＤＧｓ（エスディージーズ）をテーマに、地域や地球の未来を共に考えるＦＭのべおかの番組「ココカラＳＤＧｓ」の第１８回「ＳＤＧｓって今どうなの？」が、１５日に放送された。内容を一部抜粋し紹介する。

　アドバイザーはＳＤＧｓコミュニケーターの難波裕扶子さん（４９）＝シンク・オブ・アザーズ代表、日向市亀崎西＝。ゲストはグローバル・クリーン＝日向市亀崎＝専務の税田倫子さん（４６）、池上冷熱＝延岡市大武町＝専務の新名裕一さん（５０）。なお、収録は７日に行われた。

－－第１８回のテーマは「ＳＤＧｓって今どうなの？」です。

〈難波〉ＳＤＧｓは２０１５年９月に国連サミットで採択され、この日は「ＧｌｏｂａｌＧｏａｌｓＤａｙ（グローバルゴールズデー）」と呼ばれています。そのため、９月はＳＤＧｓにとって重要な月です。今回は改めてＳＤＧｓに向き合い、一人一人の行動のきっかけにしたいと思います。

－－では新名さん、自己紹介をお願いします。

〈新名〉池上冷熱は延岡鐵工団地（通称イノベック）内に本社を構え、主に空調関係の業務を行っている会社です。おかげさまで今年、創業４０周年を迎えました。

－－続けて税田さん、自己紹介をお願いします。

〈税田〉グローバル・クリーンは日向市でビルメンテナンス、不動産、クリーンコンサルを行っている会社です。また私は「みやざき女性の活躍推進会議」の企画委員、昨年からは県労働委員会の委員も務めています。

－－２社とも、いち早くＳＤＧｓに取り組まれています。

〈新名〉弊社は、業務の流れで結果的にＳＤＧｓに取り組むことになりました。エアコンにはオゾン層破壊や地球温暖化を引き起こすフロンガスが含まれており、弊社は「フロン排出抑制法」を順守することで、ＳＤＧｓの取り組みにつながっていきました。
現在、冷媒で多く使用されているのはフロンＲ４１０ＡとＲ３２です。例えば、フロンＲ４１０Ａを大気中に１キロ放出することは、二酸化炭素が２０９０キロ排出されることと同じです。
分かりやすく言うと、レジ袋１４万枚がもたらす地球環境負荷と同じ。ガソリン車であれば１万８０００キロ走ったことになります。少し放出するだけで大変なことになるのです。そのため、弊社ではエアコンの冷媒を漏らさないことに力を入れています。

〈難波〉環境を守りながら事業を続けていくことが、経済活動に好循環を生み出します。そのような企業が増えていくといいですね。

〈税田〉私たち清掃サービス業という分野には、しっかり覚えると簡単にできる仕事が一部あり、そのような仕事があるからこそできることがあります。
例えば、子育て期の母親が急に職場を離れても、急な欠員に対応できるようにしておくことで、この１０年間でお客さまのところに清掃員を出せなかった割合は１％以下です。
また、弊社のさまざまな制度やルールをみんなでつくりながら形にしてきました。その中で女性の正社員化が進み、そういった柔軟な働き方ができるのであれば、正社員にチャレンジしたいという人が現れたのです。今は社員の半数以上が女性で、管理職は女性が務めています。
「みやざき女性の活躍推進会議」の企画委員としても、さまざまな勉強をさせていただいています。九州ジェンダーギャップ指数では、宮崎県は経済分野で他県よりも少しだけ高い数字が出ています。県全体の働く女性の割合は人口に対して高い。ただし、非正規や配偶者の所得扶養の枠以下で働く人たちが非常に多い地域でもあります。
一方で、経済的に自立したい人や今の働き方に違和感を覚えている人にとっては、チャレンジしにくい地域です。中小企業の私たちが、チャレンジできる道をほんの少し考えることでそれが可能になる場合もあるのです。
社員のエピソードで納得したことがあります。今年初めて新車を購入した女性社員が「夫の許可や父親への相談なしで、車のローンを組めたことがこんなにうれしいとは思わなかった」と話していました。女性の経済的な自立という小さなエピソードですが、このような女性が少しでも増えていくことが、県全体の経済を動かす小さな原動力に絶対になります。

〈難波〉誰もが機会に巡り会うような環境を整えてあげることが一歩になりますし、それを着実に積み上げているからこそ、働きやすい職場として社会から

－－池上冷熱も、社会との共生に積極的に取り組まれています。

〈新名〉二酸化炭素削減につながる植栽イベントや、地域ボランティア活動である「延岡アースデイ」に参加させてもらっています。また、社員や地域住民の安心安全を守るため、２０２０年に事務所を増設した際、屋上に津波避難タワーを造りました。

－－他にも、寄付付き自動販売機を活用してＳＤＧｓに取り組まれているそうですね。

〈新名〉収益の一部を寄付する寄付付き自動販売機について、これっていいなと思って。ＳＤＧｓに関係するところに寄付できないかメーカーに問い合わせたところ、「できますよ」と返事をもらって、日本赤十字社や赤い羽根共同募金、開発途上国の子どもたちに学校給食を届ける「ＴＦＴ活動」などに寄付しています。
ジュースを購入する人も、自動販売機を設置した企業も、無理をせずにＳＤＧｓに関わることのできる良い取り組みだと思っています。
また、職場では年齢層のダイバーシティ（多様性）とジェンダー（社会的性差）のダイバーシティに取り組んでいます。
具体的には、年齢層は２０～６０代と幅広く、ジェンダーについては女性を積極的に雇用しています。１０年前は従業員２６人のうち女性２人でしたが、現在は従業員３４人のうち女性８人と、多く働いてもらっています。

〈税田〉素晴らしいですね。これまで女性が入ることが少なかった職域で、企業自ら雇用を広げていくことは、企業にとっても従業員にとってもメリットが多いのではないでしょうか。

－－税田さん、ついに絵本「しょうがいのなくなる日」が完成したそうですね。

〈税田〉クラウドファンディングを実施して、本当に多くの人に支援していただきました。私の子ども（次男）が７５１グラムの超低出生体重児で生まれたことをきっかけに自費出版した絵本です。
結果的に子どもに障害はありませんでしたが、働く場所の心配や、療育手帳を持って生きていくことについて知るうち、多様性に触れたり、自分との違いに学んだり、相手の立場に立って考えたりすることの大切さを、できるだけ幼い頃から知ってもらいたいと思うようになりました。そのメッセージを発信する一つの方法として、この絵本を県内の小学校と特別支援学校に寄贈します。
何よりうれしかったのは、この思いに賛同してくれた人が本当にたくさんいたことです。すごく勇気をもらえましたし、多くの人が賛同してくれたことで、もしかしたら社会が少し変わるかもしれないと期待を持つことができました。

－－ＳＤＧｓは「きれい事」「理想」と言われることもあり、答えのない取り組みに葛藤を覚えることもあると思います。最後に、ＳＤＧｓをひと言で表すと。

〈新名〉私がこんなことを言うのは恥ずかしいですが、「愛」です。愛がないとＳＤＧｓの活動はできないし、愛があるからこそできることかなと思います。愛があるからこそ地球も人もきれいになって、持続可能な社会を実現することができると思っています。

〈税田〉私は、当たり前に住みよい環境づくりに取り組める「手段」だと思っています。ＳＤＧｓに否定的な人がいることも理解できますが、大切なのはその否定の先に何を描いているのか。互いに譲り合い、次の世代に健全な地球を渡すにはどうしたら良いのか、その一つの手段としてＳＤＧｓはあるのだと思います。

〈新名〉難波さんから教わった言葉ですが、「私たちは微力ではあるけれども無力ではない」。これを聞いた時は感動しました。やらないよりはやったほうがいい。「無力ではない」ということを意識したいです。

〈難波〉そう言っていただき、声が震えるほどうれしいです。自分の責任としてこれからも旗を振り続けていこうと、きょう改めて思いました。

（おわり）

□提供
旭化成、グローバル・クリーン、和光産業、池上冷熱

□再放送□２２日午後８時、２５日午前１１時からの２回

□第１９回の内容□
〈テーマ〉「人と地球の健康から考えるＳＤＧｓ」
〈ゲスト〉和光産業（延岡市）の専務・山口勝久さんと住宅建築事業部・髙橋俊貴さん
〈放送日〉１０月２０日午後１時から。
〈再放送〉１０月２７日午後８時から、同３０日午前１１時からの２回