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みやざきサクラマス−ヤマメを海で養殖し巨大化

本紙掲載日:2019-02-23
8面

宮大大学院−上野さんが起業目指す

 五ケ瀬町鞍岡の清流で育ったヤマメを延岡市の海で養殖して巨大化させた「みやざきサクラマス」。この養殖技術を研究する宮崎大学で学ぶ上野賢さん(23)=宮崎大学大学院修士1年=が、みやざきサクラマスを取り扱うベンチャー企業の立ち上げを目指している。〃国産サーモン〃への注目が集まる中、新たなブランド魚に育てようと意気込む上野さんの姿を紹介する。

◆「新たなブランド魚に」クラウドファンディング立ち上げ−北の高級魚を南国宮崎で

 本州北部地域で食される天然のサクラマスは高級魚として高値で取引される。その高級なサクラマスも、元をたどると県北でなじみ深い淡水魚「ヤマメ」と同じだということをご存じだろうか。

 ヤマメは太平洋サケ属に分類される冷水魚。北海道や本州北部地域では春に川を下って太平洋を回遊して再び川に戻ってくる個体群を「サクラマス」と呼び、一生を川で過ごす残留型個体群「ヤマメ」と区別される。自然の摂理に頼る天然のサクラマスは数が限られるため、貴重な品として扱われている。
一方、九州などは周辺を流れる暖流の影響で、高水温では生きられないヤマメはほとんどが川にとどまって一生を過ごす。長い間、河川で代を重ねてきた、いわば〃海に行くことを忘れてしまった〃個体群だ。

 こうした特性に着目したのが五ケ瀬町の「やまめの里」。同町はヤマメの内水面養殖が盛んで、県のブランド魚「五ケ瀬やまめ」に認証されるほど。しかし、水温が10度以下になる冬季はヤマメの活動が停滞して成長が鈍る。ところが、県北沿岸の海は冬季に水温が15〜19度で育成に適した条件が整う。

 やまめの里などが2012年に海面養殖の試験を実施。淡水養殖では500グラムほどだったのが、約4カ月の海面養殖で1・5キロほどに成長した。味もよりうまみが増して臭みがなく、希少な珍味として好まれる卵の数も普通のヤマメより10倍以上多かった。

 一方で、すべてのヤマメが成長するわけではなく、海水に適応できずに死んでしまう個体も続出。翌年から、同大学農学部延岡水産実験所の内田勝久教授(51)と研究を開始した。

 内田教授が同年11月にやまめの里の養殖池を調査すると、体全体が暗褐色で側面に黒い斑紋がある個体に交じって、体全体がわずかに銀白色化して斑紋が不明瞭な個体(銀化個体)がいることが分かった。この銀化個体を丁寧に海水に慣らす工程を行うことで、生存率が格段に上昇した。

 こうした基礎研究の成果が「日本最南限でのサクラマス海面養殖実用化」につながった。天然のサクラマスは寄生虫の問題から生食できないが、みやざきサクラマスはアニサキスなどの寄生虫が確認されておらず、日本人が好む刺し身やすしとして利用できる。

 また、山育ちのヤマメに比べて、生活習慣病予防に効果が期待できる不飽和脂肪酸が多い。脂も乗ってまろやかで、「食べておいしく、健康にいい」サクラマスの生産方法が確立された。

◇「せっかく作れるのに」−ベンチャー起業を決意

 上野さんが生まれた岩手県釜石市は沿岸部に位置し、人口は約3万3000人(2018年11月末現在)。三陸の豊かな海で捕れた新鮮な魚介類や山間部で育った農作物など食材も豊富だ。その中でもサクラマスは郵便ポストの上に置物が飾られるほど知名度がある。

 そうした自然豊かな環境で育った上野さんは、小さい頃から生き物が好きで、釣りを楽しんだり、熱帯魚やカブトムシを飼ったりしていた。大学進学を考えた時に「自分の好きなことを勉強しよう」と考え、宮崎大学の海洋生物環境学科という他大学にはない学科名に引かれて入学を決めた。

 この時は将来のことは考えておらず、「公務員になろうかな」と漠然としていた。2年生の時に内田教授がサクラマスの研究をしていることを知って研究室入りを即決した。地元では高級魚。「宮崎でサクラマスができるのか。九州でやっていることそのものが面白い」

 起業を考えるきっかけとなったのは、3年生の時。延岡市内の港でサクラマスの海面養殖の現場に立ち会った際に〃モヤモヤ〃が生まれたという。内水面と海面の業者の連携が取れていない。営利目的ではない研究活動では生産事業にまで手は出せない。「せっかくサクラマスが作れるのに。誰かが主体となってやらないと」と、取りまとめる会社の必要性を感じた。生産に関わる多方面の人と交流する中で、その情熱を感じて起業を決意した。

◇漁業者と消費者近づけたい

 新会社は五ケ瀬町に拠点を置く計画だ。やまめの里でいけすをレンタルして海面養殖するためのヤマメを育て、海水温度が適温になる12月ごろから延岡市の業者に海面養殖を委託する。養殖業者も空いているいけすを有効活用できるなどのメリットがある。

 現段階では海面養殖で一律に成長しないことも課題だが、これも利益につなげる。1キロ前後に成長したサクラマスは販売するが、小さなサイズはやまめの里のいけすに戻して、メスはイクラを採取し、オスは薫製の加工品にする。イクラは黄金色に輝き、その珍しさから珍味として人気が高く、薫製品も美味だという。

 もう一つ、ひときわ大きくなった「トビ」と呼ばれる個体は次の代の育種に使う。優良系統を選別していくことで、高成長・高温耐性を持つ系統がを育て、市場での競争力を強めていく方針だ。

 2017年9月の同大学と宮崎銀行が連携した「第1回宮崎大学ビジネスコンテスト」で大学長賞を受賞し、昨年11月の「第2回宮崎テックプラングランプリ」(リバネス主催)では最優秀賞に輝いた。

 コンテストに出ることでビジョンが少しずつ固まってきた。「いろんな業界の人に話をして、サクラマスが多方面から見てもいい物だということは自分の中で確信している。誰か一人がもうかるんじゃなくて、山の生産者も海の生産者もバランスよく一つの産業をつくって、それぞれにペイバックできるシステムをつくりたい」と話す。

 海面養殖が始まる今年12月ごろが本格スタート。それを見据えて、昨年10月には種苗を作り、稚魚をふ化させた。これからは出資先を募り、会社名や新ブランド名などを決めていく。「しっかりと宮大発の商品として世に出すことが直近の目標。まずは地元の人に知ってもらい、漁業者と消費者を近づけたい」と意気込む。

◇過酷な条件が強みに−国産サーモン市場に挑戦

 日本ではかつて、サケ(鮭)やマス(鱒)を刺し身で食べることはできなかった。これは天然のサケ・マスにアニサキスなどの寄生虫が感染している場合があるためで、加熱処理することがほとんどだった。今でこそすしネタの人気ランキングの上位に「サーモン」が入ることは珍しくないが、これは海外でサケ・マスの養殖技術が確立されて生食が可能になったことが大きい。

 国内で流通するサケ・マスは、ニジマスを人工的に改良して海面養殖した「トラウトサーモン」、生食用としてチルド輸送される養殖サケ「アトランティックサーモン」、世界中で最も養殖されて加工用として出回る「ギンザケ」が主流。ギンザケは国内でも養殖されているが、流通するサケ・マスの多くがノルウェーやチリからの輸入に依存している。

 一方で、年間10万トンと推察される生食用サーモンの市場規模を狙い、日本各地でニジマスやギンザケを養殖した〃ご当地サーモン〃が誕生している。

 みやざきサクラマスの強みは、海面養殖期間の短さ。暖流が流れ込む県北沿岸は最適な海水温の期間は短いが、その短い間で大きくすることができる分、生産コストを抑えることができる。

 加えて、日本最南限で育っていることも将来的に強みになる。内田教授は「暖かい海域で養殖するのは一番過酷な条件だが、そこでできた種苗は日本全国の海に適合性がある。そういう種苗を将来的には売ることもできる」と見据える。

 上野さんは延岡の食材というイメージをつくり上げるために、売り先に都市部も想定する。「北のイメージが強いサクラマスを日本の一番南で作っているという話題性もある。味のランクも高いので、普通のサーモンと差別化して『東京で有名になったものが宮崎のものだった』でもいいと思います」と話す。

◇「生産と研究のいい流れを」内田教授

 「自分が関わって技術開発してきた魚は地元に根差した魚にしたいという思いはあった」と内田教授。しかし、大学教員に身を置いたままではビジネスの世界に手を伸ばせないという歯がゆさがあったという。

 研究開始から4年ほどが経過した時に上野さんが研究室に入ってきた。

 「『君は三陸から来ているんだからサケをやるべきだよ』っていう話をしました。粘り強く研究を続ける素質があるんだろう」と振り返る。

 みやざきサクラマスの養殖技術は、産業化できるところまで達していた。上野さんから「起業したい」と話を聞いた時は「自分のところで育った誰かがやってくれるのが一番いいと思っていた。これは全力で応援してあげないといけない」と感じたという。

 教授と学生との関係から、研究者と生産者との関係へと変化していく。内田教授は「生産者になれば必ずニーズが出てくる。すぐに受け止めて大学の研究開発で解決するという流れができるといい」と期待を寄せた。


◇「宮崎で成功させたい」クラウドファンディング立ち上げ

 上野さんは宮崎銀行とキャンプファイアの支援を受けて、インターネット上で支援を募る「クラウドファンディング」をスタートさせた。地域特化型のサイト「FAAVO宮崎」でプロジェクトを立ち上げ、3月31日まで募っている。

 プロジェクト名は「宮大生発!元はヤマメ?幻の高級魚サクラマスの養殖を宮崎で成功させたい!」。目標金額を150万円に設定した。

 支援金額は1000円〜5万円。金額に応じて、「生産成果報告会への招待」「サクラマスの薫製」「サクラマスの養殖場をアテンド」「初出荷分のサクラマス試食パーティー招待」「サクラマス採卵体験(採卵魚1匹お持ち帰り付き)」などの返礼品を用意している。

 アドレスはFAAVO宮崎(http://faavo.jp/miyazaki)。

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