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巨典の−故郷は遠きにありて思うもの(33)

本紙掲載日:2024-03-06
8面

焼き鳥激戦区福岡で一歩ずつ−昨年オープン「なるも」後藤絵美さん(延岡市出身)

◆ひたすらに美味しい物を−お客さんへの感謝忘れず

「鶏口となるも、牛後となるなかれ」

 鶏口(けいこう)とは鶏の頭、牛後(ぎゅうご)とは牛の尻。つまり、強い勢力のあるものに付き従うより、たとえ小さくても独立したものの頭となれという意味。

 そんな、史記・蘇秦列伝のことわざから付けた店名が「やきとりなるも」。昨年、焼き鳥激戦区の福岡市にオープンしたお店で、店主は延岡高校卒の後藤絵美さん。

 福岡大学時代、都城出身の益留誠さんが手掛けた福岡市の繁盛居酒屋「プーラビーダ25」でアルバイトをしたのが、この業界に入るきっかけでした。
料理の勉強がしたかったこともあり、後藤さんは一生懸命に働きます。しかし、現実は厳しいものがありました。

 以前、アルバイトで経験したフランチャイズ店の「会話のマニュアル」が、まったく通用しなかったのです。求められるスキルが全く違ったのでした。二十歳そこそこのアルバイトの店員にも、プロとしてのコミュニケーションスキルが求められたのです。

 先輩たちからは「やめとけ!そんな甘い世界じゃなかよ」とも言われました。なるほど、プロの接客とは実に細やかなもので、例えば、2人連れのお客さんの1人がトイレに行った際には、残ったもう1人のお客さんに話し掛け、丁寧に会話をつなぐことを求められたそうです。

 もともと人見知りだったという後藤さんにとっては厳しい修行となりました。何を話せばいいのか、気の利いた言葉が出てきません。「お客さんと満足に話もできないのか」情けない自分に涙が出ました。

 しかしくじけてはいられません。その店のおかみさんの真似をして、お客さんに話し掛ける努力を続けました。毎日が必死でした。少しずつですが、会話ができるようになると仕事自体も楽しくなってきました。

 そして、次は包丁修行です。焼き鳥に付き物のキャベツ、そして刺し身に付き物の大根のツマ。仕事から離れたプライベートな時間でも毎日毎日、気が遠くなるような数のキャベツを、大根を切って練習しました。

 日々の努力と愛用の包丁は、正直に優しく、後藤さんの背中を押してくれました。しばらくすると、「こんなうまく野菜を切るのは誰なんだ?」と言われるようになりました。また一歩、階段を上ることができたのです。

 そして、2023年6月5日、福岡市中央区高砂に「やきとり・なるも」をオープンさせました。こぢんまりとした9・8坪、席数16のお店で、営業時間は午後5時半から午前2時までの長丁場。営業を終えた、味にうるさい同業者も多く押し寄せます。


◇同業者をもうならせる味−細かな気配り・目配りも

 焼き鳥店のおかみとして心掛けていることは、「ひたすらにおいしいものを提供すること、そしてお客さんに感謝すること」。さらには、「店の主人公はお客さま。私は邪魔にならないように、それでいて気を利かせるおかみになりたい」との想(おも)い。

 筆者も、これまで何度かこのお店にお邪魔しましたが、その都度に感じることは、「次、何を注文しようかな」と思った時に、なぜかおかみと目線が合うのです。それは、後藤さんがお客さんのニーズをいち早くくみ取ろうと、作業の傍ら、常に店中に目配りをしているからに違いありません。どんなに店が混み合っていてもフラストレーションを感じないのは、おかみの細かい気配りのおかげなのでした。

 ふるさとの大好きな場所は、松山町のおばあちゃん家の前の小川。その流れに足をつけてぼーっと空を眺めるのが大好きだったそうです。ふるさとを思いながら、お店では日向夏の酎ハイや日向夏の手作りアイスを出して好評を得ています。

 今後はさらに、「空飛ぶ新玉ネギ」や行縢のタケノコ、平兵衛酢(へべす)など大好きな延岡の味をお店で扱いたいそうです。そして、2024年を迎え、「延岡にいた頃から人に助けられてばかりだった私ですが、『なるも』を通してたくさんのお客さんに笑顔になってもらいたい、今年はそんな感謝の年にしたいのです」と語ってくれました。

 焼き鳥文化の激戦地・福岡での「鶏口となるも、牛後となるなかれ」有言実行の歩みは着実に進んでいるようです。

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