最高賞の栄誉－全共鹿児島大会

本紙掲載日：2022-10-10

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７区優等首席、チームみやざき

◆佐藤さん、牛と仲間のおかげ

　チームみやざきが７区で優等首席、内閣総理大臣賞を獲得した。出場した高千穂町の佐藤孝輔さん（４１）は「牛と代表団の仲間のおかげ」と感謝し、世話に一緒に励んでくれた妻浩美さん（３９）にも「妻がいなかったら、ここまでこれなかった」と感謝した。

　「新設された７区は注目度が高くなるし、今後の宮崎牛のブランド確立につながる区にもなる」。佐藤さんは県代表に選ばれた審査会でそう話し、責任を自覚した。以降、今大会までの約２カ月間は、プレッシャーとの戦いでもあった。だが、気負いが伝わって悪影響を及ぼさないよう、牛の前では平常心を心掛けた。

　体調チェックや牛舎の掃除を小まめに行い、ストレスを与えないことに細心の注意を払った。物音に慣れさせようと、牛舎でオルゴール音楽を流すなどの工夫も重ねた。こうした努力に最高の形で応えてくれた。

　県の審査会で佐藤さんは「残っていたのは有名な肥育農家ばかりで、不安だった」とも話していた。状況は変わり、次回からは追われる立場になる。だが、「あまり意識しようとは思わない。それよりも、宮崎牛と畜産農家の発展に貢献したい」と将来に思いをはせた。

◆林秋廣さん、３区で優等首席「やれることはすべてやった」

　「等級決めの並び替えを行います」――。アナウンスの後、審査員に促された３区に出品した林秋廣さん（６９）と「こうみほ」が最初の一歩を踏み出すと、会場からどよめくような歓声と拍手が湧いた。

　「やれることはすべてやってきたので、牛の一番良い姿を見せてあげなければと思った。会場に入って３日間、周囲の牛を観察して負けている気はしなかったが、審査ははらはらどきどきだった」と優等首席獲得に安堵（あんど）の表情を浮かべた。

　２００２年から５大会連続の全共出場。いずれも優等賞に名を連ね、２００７年大会では系等雌牛群の優等首席と、首席牛の中から最も優れた牛に贈られる内閣総理大臣賞を獲得した。

　県代表牛２２頭のうち県北勢１０頭で挑んだ今大会と、同地域唯一の出場で優等６席に甘んじた前回大会を比べ「段違いに落ち着いて臨めた。やる気のある若者が少しずつ出てきて、一緒にこの舞台に立てたことが何よりうれしい」とほほ笑んだ。

　牛の状態や食いつきなどを毎日記録しているという〃一行日誌〃にはこの日、「リベンジ完了」と書き込む予定。「牛の世話は体が動く限り続ける。『みんなここまで来いよ！』という気持ち」と仲間たちへ熱いエールを送った。

◆織田さん、優等３席を受賞・東臼杵郡市畜連の３５年ぶり代表－全員の思いが結果に

　東臼杵郡市畜連の３５年ぶりの代表として３区に出場した織田直行さん（３９）は、優等３席を受賞。「東臼杵全員の思いが結果につながったし、技術員や代表の皆さんをはじめ、本当にたくさんの人に支えられた」と感謝を述べた。

　「やるからには、てっぺんを目指す」。県代表に選ばれてからそう言い続け、自らを奮い立たせた。惜しくも目標は達成できなかったが、「満足している」とプレッシャーから解き放たれ、充実感と安堵（あんど）交じりの表情を浮かべた。

　県の代表牛を決める審査会の前から含め、本番までの約５カ月間は「本当に長かった。でも、あっという間だった」。共に戦った愛牛に対しては「今まで頑張ってくれたね。お疲れさま」とねぎらいの言葉を贈った。

◆「大きな財産になった」６区、４人が優等首席

　種牛４頭と肉牛３頭の総合評価で競う６区は首席を逃したが、西臼杵郡（高千穂、日之影、五ケ瀬町）の４人が種牛の部で優等首席を獲得した。

　五ケ瀬町から３０年ぶりの出場となった興梠大志さん（４８）は「会場でほかの牛を見たとき、接戦になる予感はあったが、１位が取れてうれしい。宮崎牛のアピールはもちろん、一番の目標だった地域活性化にも貢献できたのでは」と感慨深げ。

　父の哲法さん（５５）が２００７年大会で優等首席を獲得している興梠友成さん（２３）は「父と同じ日本一を目標にしてきたので、まさかという気持ち。僕の育て方で日本一になれるのかといつも半信半疑だったが、牛と誠心誠意向き合ってきた成果が出たようでうれしい」と話した。

　出品者の田辺貴紀さん（４４）に思いを託され、引き手を務めた今村隼さん（２３）は「県代表になり、この４人で絶対日本一を取ろうと話し合いを重ねながら準備してきたのでうれしい。田辺さんには信じてくれてありがとうと伝えたい」と笑顔を見せた。

　同区出場の若手から慕われる馬﨑太志さん（２８）は涙で目を腫らしながら「牛には（審査中）ここ我慢だぞ、もうちょっと頑張って、と言葉を掛けた。地域を越えた方々と出会い、学ぶことができて牛飼い人生にとって大きな財産になった」と満足した表情を浮かべた。

◆４区、優等２席を獲得－西臼杵藤原、佐藤、井植さん

　西臼杵の３人が臨んだ４区は優等２席を獲得。３人の中で最年長の藤原和昭さん（６３）は「自信はあった。差はないと思っていたし、ここまで来たからにはと思っていたので」と悔しがった。

　佐藤悟さん（４２）も「煮え切らない」。満足いく結果は得られなかったが、三度目の正直となった今大会で「地元の人たちが優秀な成績を収めていたので、『やっていることは間違いないんだ』と思える大会だった。自信につながった」と収穫を得た。

　井植計二さん（５０）は「審査が終わった瞬間にお世話になった人の顔やいろいろな思い出がこみ上げてきた。首席を取れなかったことが悔しい。でも、初出品ながら立派に戦ってくれた『たかひめ』には感謝している」と涙を流しながら語った。