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より天然に近く−アユの人工授精始まる

本紙掲載日:2022-10-28
3面

日向市幸脇あゆの是則

◆1代目の子−F1生産に力

 日向市幸脇の「あゆの是則」(是則由員社長)は15日、放流用アユの採卵、人工授精を行った。作業は養殖用も含め今月末まで続き、放流用アユは来年4月ごろに県内外に出荷する。

 採卵したアユは、今年3月に捕れた県産の天然稚アユを体長約20センチまで成長させたもの。是則社長らが産卵期を迎えた雌から素早く卵を搾り出し、雄の精子をかけ、鳥の羽で慎重に混ぜて受精させた。受精卵は、化繊のマットに吸着させ、専用のいけすに入れた。

 是則社長によると、この日の採卵量は100万粒。1週間程度で発眼し、2週間ほどでふ化する。その後は、約0・5グラムの稚魚まで育てた後、美々津の第二養魚場に移し、4月ごろまでに約5センチ、10グラム程度まで成長させて出荷するという。

 同社は難しいとされる稚アユの養殖で、全国でも有数の業者として知られている。放流用アユは、2年前から河川や天然資源の保護などを目的に、県産の天然稚アユを使った種苗生産を開始。放流用として1代目の子(F1)の生産に力を入れている。

 是則社長は「F1のアユは、生残率が高く、友釣りのおとりアユとしても評判が良い。県や漁協の要望に応え、健康なアユを生産していきたい」と話した。

 また、この日は、県内水面漁業協同組合連合会、耳川水系の漁業組合の役員らが視察。視察した役員は「より天然に近づけるため、F1での生産をお願いしている。今年も天然稚アユが無事に成長し、採卵できたことを確認した。来春の放流に期待している」と話した。

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