ちょっといい話−〃伝統〃の地域清掃、今年も

南浦中１３人−休校日に海岸のごみ拾い

　延岡市の熊野江海岸で２１日、私服姿の中学生らがごみ拾いをする光景が見られた。海岸に近い南浦中学校（濱下裕二校長）の全校生徒１３人が、振り替え休校日に声を掛け合って集まったという。

　この日は平日だったが、同校は日曜日の２３日に開く学習発表会の準備で登校日となる２２日に振り替えて休校。新型コロナウイルス感染防止の行動制限が緩和され、絶好の秋晴れにも恵まれたことから、生徒らは「みんなで遊ぼう」という話で盛り上がったのだという。

　そうしたやり取りの中、「どうせ集まるんだったら、海でごみ拾いもしようよ」と声が上がり、〃全会一致〃で決定。生徒らによると、休みの日に自分たちだけで地域を清掃する取り組みは、歴代の先輩から受け継がれている、みんなで楽しむイベントのような伝統だという。

　学習発表会は中学校に隣接する熊野江小と合同で開くため、同じく振り替え休日の児童のうち、中学生のきょうだいら３人も清掃に参加。子どもらしくみんなでケラケラ声を上げながらも、一生懸命に手を動かし、台風１４号で打ち上げられたままのプラスチックごみや空き瓶、ペットボトルなどを次々と袋いっぱいに集めていた。

　ごみ拾いを提案したという３年生の木津陽（ひなた）さん（１５）は、「新型コロナで今年は初めて集まりますが、ごみが目立って気になっていたので、こうした活動が少しでも減らせるきっかけになるといいです。大人になって帰って来たときもきれいな海であってほしいです」と希望。清掃後には、女子は「恋バナ（恋の話）」、男子はゲーム遊びで盛り上がっていた。

　海岸では、たまたま教室で集合日時を知らせる生徒の張り紙を見て活動を知ったという小林美和子教頭らが遠目からそっと子どもらを見守り、「まさかこんな計画を立てていたなんて」と目を細めていた。