「ひなたＷＯＭＡＮ」（１００）

美郷町地域おこし協力隊・山原陽菜さん

◆アロマビジネスけん引

　「アロマ（香り）ビジネス」に取り組む美郷町で、森のハーブといわれるクロモジや、ユズなどを使った天然成分１００％の精油作りに励む。株式会社を立ち上げ、方言の「かざ（香り）」から取った「ＫＡＺＡ」ブランドとして売り出す。

　「クロモジは枝と葉っぱ、木本体の３種類を製品化していますが、例えば葉っぱは１キロからわずか５ミリリットルなど、どれもわずかしか取れない希少な精油です。手間暇かけた分、お客さまからは『まるで森林浴をしているかのよう』などと好評を頂いています」

　地元で邪魔者扱いされてきたクロモジは、山林の持ち主と契約して確保。ユズ、キンカンは売り物に不向きな傷物を地元農家から買い取る。

　「クロモジの情報を教えてくれる林家、枝と葉っぱの仕分け作業や、ユズの皮むきに協力してくださる地元福祉施設の皆さんなど多くの方のサポートに感謝です」

　大阪府和泉市生まれ。体の不調が長く続き、植物を用いた自然療法に興味を持ち始めた頃、美郷町が進める「千年の森乃香りプロジェクト」を知った。
「プロジェクトの中心的役割を担う人材を募集するというものでした。大学で地域活性化を学んだ経験も生かせるのではと思い、応募を決めました」

　会社を辞め、昨年５月に移住。南郷区の「西の正倉院」前で蒸留所兼店舗を構える。息抜きは始めたばかりのサーフィン。おかげで実家の両親が驚くほど健康になったという。

　「南郷温泉の温泉水が主成分の保湿ジェル『どんタロ』とのコラボ製品や、観光客向けに香りと食事が楽しめるカフェも計画中です。いい香りで癒やしが伝染され、人が集まる活気あふれる美郷にしていきたいです」