伝統の農作業−五ケ所高原で刈り干し
本紙掲載日：2022-11-08
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守る会、昆虫調査研など参加・高千穂
高千穂町五ケ所に生息する希少動植物や原風景の保全・再生などに取り組む「五ケ所高原ゴマ姫の草原を守る会」（甲斐英明会長、２１人）は５日、県の重要生息地に指定されている五ケ所高原で刈り干しを行った。同会員ら７人と宮崎昆虫調査研究会の岩��郁雄会長、宮崎大学農学部の西脇亜也教授以下研究室の学生２人が、伝統の作業に汗を流した。
刈り干しは冬場の家畜の餌を確保するためにカヤやススキを刈る作業のこと。刈ったカヤなどは「とうび」と呼ぶ形に積み重ね天日で乾燥させる。この日は、高齢化する地域内の畜産農家に代わって作業し、景観や生態系の維持につなげようと甲斐会長（７４）の声掛けなどで集まった。
本来は大鎌で刈るが、草地の面積などを考慮して刈り払い機を使用。斜面に密生した草を刈って束ね、立てた状態で数カ所に集める天日干しの準備までを午前と午後に分けて行った。
昼休憩の時間には、五ケ所高原の草地保全に向けた意見交換会も開かれ、地域おこし協力隊制度の利用、鹿やイノシシによる獣害防止、ユネスコエコパークにも認定されている同地域の祖母山を活用した地域振興案などが話し合われた。
参加した宮崎大学農学部の橋本凪咲さん（２０）は「伝統の刈り干しを体験できて良い勉強になった。景観維持だけでなく、畜産業にも関わっているなど多方面の分野で成り立つ側面も知れたので視野が広がった」と感想。
甲斐会長は「高齢化で刈り干しを行う畜産農家が減り、草地の維持・管理が難しくなってきた。五ケ所の美しい自然や生態系を後世に受け継ぐためにも、できるだけ長くこの活動を続けていかなければ」と話した。