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新型コロナ週刊トピック−北海道・東北で再拡大−県内も感染者増

本紙掲載日:2022-11-19
2面

 国内では新型コロナウイルスの感染が北海道や東北を中心として加速的に再拡大し始め、県内も少しずつ感染者が増えている状況です。そこで今回は、県新型コロナ対策調整本部の佐藤圭創特任医師に今後の見通しなどを聞きました。

◆着々と迫る「第8波」

−−現在の感染状況を教えてください。

【佐藤医師】ご承知のように、着々と「第8波」が迫り、全国的に感染者数が増加傾向となっています。直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数で上位を占めているのは、最多の北海道、2位の山形県、3位の長野県をはじめ、いずれも日本の北側です。

 これは要するに冬に入った地域から感染が広がり始めたということです。先に再拡大した欧州と同じ流れです。過去2年間の同時期を振り返ると、北海道で感染拡大してから2〜3週間後、東北の約2週間後に、九州でも流行しています。

−−感染者数は今後も増加しそうですね。

【佐藤医師】1人から何人に感染するかの指標となる実効再生産数は、全都道府県とも「1」を超えて増加傾向を示しており、厚生労働省も今後約2週間で感染者数がかなり増えると警戒しています。

 延岡市の実効再生産数は15日時点で1・00となりました。感染者数は同日発表分が75人で10月中旬並みに戻り、今後は増加していくとみられます。

−−冬場に感染が広がるのはなぜですか。

【佐藤医師】空気が乾燥して湿度が下がると飛沫(ひまつ)が小さくなるため遠くまで飛び、吸い込みやすくなって、ウイルスが体に入る可能性が高まるからです。

 また、乾燥が進むと粘膜が傷つき、繊毛運動も低下して、ウイルスが喉や鼻、気管支などの気道粘膜に付着しやすくなります。さらに、人間の体は気温が下がると、免疫機能が低下します。

 寒いと窓を開けずに換気が悪くなるという悪条件も重なり、クリスマスにかけては人出が増え、年末年始はさらに人の流れが活発化することで、より感染しやすくなります。

◆次の県内ピーク来年1月中旬か

−−第8波のピークはいつ来そうですか。

【佐藤医師】感染者数の増え方を第7波に重ねると、現在の県内は7月初旬と同じくらいです。ピークは8月中旬でしたので、今後は来月中旬から後半にかけて急増していくと予測されます。

 これに年末年始の人の流れなどを加味すると、次のピークは成人式後の来年1月15日ごろが濃厚です。延岡市では今月末にかけて誘客イベントがあり、感染者が一時増える可能性はありますが、まだ(1日当たり)100人程度でコントロールできるだろうと考えています。

◆BQ・1系統、拡大の可能性

−−どのウイルスが流行しそうですか。

【佐藤医師】アジアではBA・2の亜種のXBBがシンガポールやインドを中心に増加しています。ヨーロッパと米国ではBA・5から派生したBQ・1とBQ・1・1が急増し、フランスと米国では新規感染者の約半数がBQ・1系統に置き換わっています。

 日本では12月中旬もまだBA・5が流行し、途中で亜種に置き換わっていくと考えられます。専門家の間では、BQ・1もしくはBQ・1・1が広がる可能性が7割、XBBが3割と予測されています。

 XBBは鹿児島や島根、広島、埼玉、東京などでパラパラと出ていますが、そこまで広がっていません。一方、BQ・1はクラスター(感染者集団)がいくつか出てきており、日本ではこちらの方が広まりやすい可能性があると考えられます。

◆感染した人もワクチンで再強化を

−−感染力などはどのくらい違いますか。

【佐藤医師】感染力はどれも、おおよそBA・5の1・2〜1・5倍、インフルエンザの10倍ほどとされています。重症化率はBA・5とほぼ同等とのデータが出そろってきました。入院患者はシンガポールで増えており、感染者数に比例して一時的に増加する可能性はあります。

 BQ・1・1は特にそうですが、免疫回避機能が高く、一度、BA・5に感染した人のブレークスルー感染も増えてくる恐れがあります。免疫学の世界では、一度感染した人にワクチン接種を推奨する「ハイブリッド免疫」という考え方が出てきました。そうすれば免疫が再強化されて感染予防に役立ちますし、重症化予防効果は間違いなく高まります。

−−第8波は最大でどれぐらいの規模になりそうですか。

【佐藤医師】BA・5のまま感染が再拡大したのであれば第7波の半分程度だろうとみられていたのですが、亜種が広まることで第7波と同じか1・1倍ほどの感染者数になると推計されています。

 すでに北海道は新規感染者数が過去最多となり、ほかの地域も同じように増えると考えられます。もう一つは今後確実に増えるインバウンド(外国人旅行者)です。

 その中で、どうしても観光地はインバウンドが多くなるので、県内も年末年始は宮崎市を中心に海外旅行者からのクラスターが出る可能性が高いと考えています。

◆インフル・すでに延岡でも

−−インフルエンザも心配です。

【佐藤医師】インフルエンザは県内の(報告が求められる)定点医療機関でこそまだ出ていませんが、延岡市内ではすでに数例発生しており、A、B型とも確認されました。

 大阪と島根では学級・学年閉鎖、休校も出ています。大阪は7校に上りました。流行開始は例年より2週間ほど早まりそうです。それでも、感染力は新型コロナの10分の1程度なので、マスクと手洗い、換気という同様の対策を徹底すれば、それほど簡単に感染することはないでしょう。

 アメリカと欧州からは、新型コロナとインフルエンザに同時感染(スーパーインフェクション)した場合のデータが報告され、重症化率は2倍から多くて4倍まで高まるということです。どちらかのワクチンだけでも接種しておくのが賢明です。

◆薬やゼリー飲料の備蓄を

−−第8波にどう備えるべきですか。

【佐藤医師】第7波で問題になったのが備蓄です。当時は解熱消炎鎮痛薬(カロナールなど)が薬局で売り切れ、病院でも処方制限となりました。今のうちに購入し、よければ喉の痛み止め、総合感冒薬(風邪薬)もあればいろんな症状に対応できるので、そろえておくといいでしょう。

 北海道などではBA・5の特徴として非常に強い喉の痛みを訴える患者が多く、ご飯が食べられないといいます。飲み物もきついのですが、ゼリー飲料であれば冷やせば何とか取れるというので、栄養が高いタイプを用意しておくといいかと思います。

 一方、最近は高齢者世帯の感染が増えていて、移動手段がないことが課題となっています。入院の際は保健所、症状急変の際は救急が対応しますが、一般診療だと病院まではタクシーで行っても陽性と判明して帰宅できないケースも出ており、第8波に向けてぜひ考えておくべき問題ではないでしょうか。

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