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第8波到来、懸念高まる

本紙掲載日:2022-11-26
2面

新型コロナ週刊トピック−経口治療薬を緊急承認

 新型コロナウイルスの新規感染者は北海道や東北を中心に全国的に増加傾向が続いています。東京都内では海外から入ってきたとみられるオミクロン株の亜種の感染者も増え、「第8波」到来の懸念が高まっています。こうした中、国内では22日、塩野義製薬が開発した新型コロナの経口治療薬「ゾコーバ」が緊急承認されました。初の国内産となる飲み薬で、軽症者にも使え、来月初めから医療現場で使用開始できる見通しです。

◇県内は「南高北低」−感染の中心は若年層

 1人から何人に感染するかの指標となる実効再生産数は、1カ月以上継続して全国で「1」を超え、減少する気配はなく、今後も間違いなく増加傾向が続くことを示しています。感染状況は「東高西低」で、冬に入り気温が低下した地域ほど感染拡大が顕著です。

 県内も増加期にあり、感染の中心は小中学生−大学生の若年層です。入院患者や重症者は今のところ増加していません。地域別では宮崎市や都城市で感染者が多い「南高北低」で、専門家は観光客の流れによって感染が広まっているとみています。

 延岡市の実効再生産数は2週連続で1・00と小康状態が続いています。ただ、今週は23日の休日に感染が広まった恐れがあるため、警戒が必要です。

◇接種率上昇も、未接種率は変わらず

 国内ではオミクロン株のBA・5が感染の95%以上を占めていますが、今後はBA・5亜種のBQ・1やBQ・1・1、BF・7、BA・2亜種のXBBなどに置き換わっていくと考えられます。

 新型コロナワクチンの接種率は4回目・5回目接種が徐々に上昇している一方、まだ1度も接種していない人や初回接種(1、2回目接種)のみで止まっている人の接種率は伸びておらず、特に、若い世代の接種率が低い状況です。

 感染者の多くはワクチン接種が3回未満で、感染後に後遺症を訴える人が急増しています。初回接種は来年3月で終了し、それが済んでいない人は今後、ワクチンが接種できなくなるため、自治体や医療機関は希望者に対し早急な接種を呼び掛けています。

◇画期的な治療薬「ゾコーバ」

 厚生労働省は22日、塩野義製薬が開発した新型コロナの経口治療薬「ゾコーバ」を国内で初めて緊急承認しました。現在使用されている海外製経口薬のラゲブリオやパキロビットパックは重症化リスクがある人にしか使えないため、軽症−中等症患者に使用できるゾコーバは、インフルエンザにおけるタミフルのような画期的な治療薬として注目されています。

 使用できる対象は12歳以上で、妊婦や妊娠の可能性がある女性には使用できませんが、1日1錠を5日間服用するだけです。ラゲブリオは1日当たり8カプセルを飲まなければならず、患者の負担となっていました。

 効能としては−−鼻水、のどの痛み、せき、発熱、倦怠(けんたい)感の症状が消えるまでの期間が約8日間から約7日間に短縮する−−ということですが、ウイルスを減らす効果が確認されており、より早い段階から使用できることで重症化防止や、周囲に感染させにくくなることも期待できます。

 厚労省は100万人分の国内供給契約を結んでいるほか、海外でも承認申請が進められています。また、塩野義製薬はゾコーバを低中所得国にも広く提供するライセンス契約を取得しており、世界的な経口薬の治療戦略が前進することになります。

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