地域医療担う人材育成へ

中高生に向けて・現役医師が講演−延岡

　地域医療を支える人材育成講演会がこのほど、延岡市本小路のカルチャープラザのべおか多目的ホールであり、県北の中高生７７人をはじめとする来場者約１５０人が現役医師４人の講演やメッセージに耳を傾けた。主催は県北９市町村で構成する県北広域行政事務組合。

　最初に、日之影町出身で日本を代表する小児心臓血管外科医の高橋幸宏さん（６６）＝榊原記念病院副院長、東京都＝が、自らの手術場面などを収めた映像を交えながら、医師の仕事の価値観や使命感について基調講演。「とにかく、若いうちに知識を蓄えてほしい」などとエールを送った。

　その後、県内の若手医師らが「後輩へのメッセージ」をテーマに登壇。このうち、延岡高校出身で都農町国民健康保健病院に勤務する井上奈津子医師（総合診療科）は、一時、危機的状況に陥っていた県立延岡病院の医師不足問題や父親の死別に触れて医療への志を固めたエピソードなどを振り返り、「今しかできないことを逃さないで」と激励した。

　また、宮崎大学医学部付属病院救命救急センターで救命救急科を専攻しながら、美郷町国民健康保険病院でへき地医療に携わる黒木琢也医師（内科）が講演。延岡市島浦町出身で市内初となる在宅医療専門診療所を開院した岩谷健志医師と医学部生らによる意見交換会もあり、参加した中高生たちは熱心に耳を傾けた。

　同講演会は、中高生に医療への理解を深めてもらい、医療従事者を目指す「夢」を抱いてもらうことで、将来、地域医療に貢献する人材を育成することを目的に、２０１２年から毎年開かれている。