新型コロナ週刊トピック−ウイルス、新たな亜種

「ＢＱ・１系統」と「ＸＢＢ系統」

　新型コロナウイルスの新規感染者数は全国的に増加傾向が続いており、さらに拡大していく見通しです。いまのところ、流行の中心となっているのは、「第７波」で爆発的に感染の広がったオミクロン株のＢＡ・５ですが、ウイルスの置き換わりが進んでいます。そこで今回は、第８波を引き起こす可能性のあるオミクロン株の新たな亜種である「ＢＱ・１系統」と「ＸＢＢ系統」のウイルスについて、改めてお伝えします。

◆県内は今月中旬から急増か

　全国的な感染状況はすでに、第７波が本格的に拡大し始めた７月下旬〜８月初旬とほぼ同じ水準に達しています。１人から何人に感染するかの指標となる実効再生産数も「１」超が続き、今後も確実に感染者が増加することを示しています。

　県内の感染者数は全国的な増え方より緩やかですが、過去の傾向から今後２、３週間で急増する可能性があります。延岡市の新規感染者数（１日当たり）は１１月２８日に１０７人となりました。高齢者施設２カ所でクラスターが発生しており、１００人を超えるのは９月以来です。

　病床の埋まり方が早まる一方、ワクチン接種があまり進んでいない状況です。インフルエンザもＡ香港型が出始めており、重症化が４倍以上高まる同時感染が懸念されています。

◇置き換わり進む

　海外で流行したオミクロン株亜種のＢＱ・１系統とＸＢＢ系統への置き換わりが国内でも着実に進んでおり、今後はこれらのウイルスが主流となって第８波が本格化するとみられています。

　いずれも感染力はＢＡ・５の１・２倍と報告されています。ただ、専門家の間では日本で今後広まるのはＢＱ・１系統との予測が優勢です。ＢＱ・１系統への置き換わりの推定値は１１月１日現在１３％でしたが、今月の第１周では７９％に達するとの見方もあります。

　ＢＱ・１系統は米国で８月以降、欧州で９月末から急増し、いったんは感染状況が落ち着きつつありましたが、欧州では再拡大しています。ＸＢＢ系統はシンガポールを中心にアジア地域で流行したものの、インドではそれほど急増していません。

　ワクチンはＢＱ・１系統、ＸＢＢ系統ともやや効きにくいと報告されていますが、十分な重症化予防効果は確認されています。一方、現在開催されているサッカーＷ杯は負の効果として、感染者数が１・２〜１・３倍まで増えるとの指摘があり、年末から年明けにかけての感染対策強化が望まれます。