労働代替ロボット、農業に活用

本紙掲載日：2022-12-20

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延岡市、北浦町農業公社と連携協定－ワークロイドのテムザック

◆負担軽減で放棄地解消へ－直播きで稲作、延岡で実証

　労働を代替するロボット「ワークロイド」を開発、製造、販売するテムザック（川久保勇次代表取締役社長、本社・京都市）と延岡市、一般財団法人北浦町農業公社が１５日、連携・協力に関する協定を締結した。３者は今後、ワークロイドを活用した米作りや米粉生産の研究開発等に取り組む。

　延岡市役所で行われた締結式にはテムザック創業者の髙本陽一代表取締役議長、読谷山洋司市長、北浦町農業公社の木原倉道理事長（市北浦総合支所長）らが出席。本部仁俊市議会議長立ち会い協定書にサインした。続けて、テムザックと市による研究開発拠点の立地調印式も行われた。

　髙本氏によるとテムザックは来年１月、川島町内に研究開発拠点「あぐり研究所」を開設し、同年春から北浦町内３カ所の水田（計約３０アール）で、直播（じかま）きによる稲作の実証を開始する。

　１年目は種まきにドローン、除草に現在開発中のワークロイド、落水に水門管理システムを用い、２年目からは収穫、３年目からは耕起にもそれぞれ新開発のワークロイドを使用する予定で、最終的には全工程におけるスマートフォンでの遠隔操作の実現を目指す。また、液化天然ガス（ＬＮＧ）の冷熱エネルギーを利用した粉砕プラントによる米粉の生産も計画している。

　髙本氏は、現在の国内稲作で主流の移植栽培と比較して、労働時間やコストの削減など直播き栽培が持つ可能性を示唆。拡大する耕作放棄地に触れながら「直播き栽培は、移植栽培よりも（面積当たりの）稲の収量は落ちるが、負担軽減による放棄地解消への寄与のメリットの方が大きい」と強調した。

　また、農業従事者の高齢化や減少を挙げて「１０年以内をめどに直播き栽培の割合を現在の２・４％から３０％まで増加できれば供給を維持できるのではないか」と考えを示した上で、「国内では初めてのやり方。標準値がないので、市や公社と協力してどろまみれになりながら試行錯誤し、この延岡から成果を広めていければ」と意気込みを語った。

　読谷山市長は「全国の手本になれる取り組みになるのでは」と期待を込めた。

　テムザックは、前身であるテムス社時代の１９９３年からさまざまなワークロイドを開発。国内外の大学研究所や企業との共同開発によるネットワークを構築しながら、危険現場や人手不足の現場で人間と共存して働くワークロイドのニーズをつかみ、安全な近距離移動を支援するパーソナルモビリティ、小児患者の診断や対処方法を学べるヒューマノイドロボット、巡回見守りや異常時の駆け付け等を担う介護ロボットなどの製品を世に送り出している。