ロコモ予防－運動心掛け、健康長寿

本紙掲載日：2022-12-30

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九州保健福祉大学のＱＯＬ研究機構シンポジウム

宮医大付属病院・帖佐医師が講演－延岡、九保大

　九州保健福祉大学の２０２２年度ＱＯＬ研究機構シンポジウムは１７日、延岡市吉野町のキャンパスで開かれ、宮崎大学医学部付属病院院長の帖佐悦男医師が「健康と長寿は運動から～ロコモティブシンドロームを防ごう」をテーマに話した。

　帖佐医師は、なぜロコモ予防を啓発するかについて、「治療・予防がしやすいから」と強調。要支援・要介護にならず健やかに老いるためには、運動器障害・疾患の予防と早期発見が欠かせず、骨折や関節変形に至る前に、意識的に自己管理や運動を心掛けるよう訴えた。

　特に注意すべきは女性で、閉経後は加齢に伴って骨量が大きく減少するとして、転倒して手首を骨折する人が多いと説明。変形性膝関節症は５０歳以上の女性で、肥満、若い頃からＯ脚、手指の先端（第１関節）が膨らんだようなヘバーデン結節の人などに発症しやすいと語った。

　その上でまず、運動不足度を知る１２個のチェック項目を提示。年齢が高いほど運動不足と死亡率との因果関係が強くなるとして、当てはまる項目が４個以下であれば特に心配はないが、１０個以上ある場合はかなり運動不足のため、注意するよう指導した。

　また、▽片足立ちで靴下が履けない▽家の中でつまずいたり滑ったりする▽階段を上るのに手すりが必要▽１５分程度続けて歩けない▽買い物で２キロ程度の荷物を持ち帰るのが困難など一つでも当てはまる場合はロコモと判定。立ち上がりテストや歩幅判定、生活状況判定によるロコモ度テストもあり、一定程度該当する場合は一度、受診するよう促した。

　病院でレントゲン写真を撮る機会がある場合は、骨が白く写っているか、関節に適度な隙間があって骨同士の辺縁がなめらかにつながっているかを、自分の目で確認するようアドバイス。骨粗しょう症では骨が黒っぽく写って骨折している可能性もあり、関節の隙間がなければ軟骨がすり減って関節の変形が疑われることを説明した。

　骨には血を作る働きがあることや、軟骨は一度すり減ってしまうと再生できないことなども指摘。太ももの筋肉が劣ると歩く際などに膝を曲げずに腰への負担が増すため筋力を維持し、足の血流が悪くならないよう、座っている時は日常的につま先─足首を曲げ伸ばしするとよいなどと指導した。

　筋力維持は軽い運動でもいいので続けることが肝心で、スクワット（屈伸）なら腰や脚が多少悪くても推奨できると説明。筋力やバランスのチェックもあ
り、参加者はその場で体を動かしながら自分の体の状態を確認していた。

　基調講演に続いて、帖佐医師や九保大から正野知基社会福祉学部長、同学部の稲田弘子臨床福祉学科長、保健科学部の樋口博之作業療法学科教授、池脇信直副学長らを交えたシンポジウムも実施。ノルディックウオーキングやスポーツ吹き矢といった、九保大が市民参加で取り組む講習の成果報告などを通じて、より効果的な健康づくりについて考えた。

◆運動不足を知る１２のチェック項目

①歩いて１０分以上かかる所には車を使う
②バスや電車で空席があると必ず座る
③休日は何もしないでゴロゴロすることが多い
④１階分でもエレベーターやエスカレーターを使う
⑤人混みの中でとっさに人をよけられない
⑥立ったまま靴下を履けない
⑦座ったり立ったりするときに「よいしょ」と言う
⑧１０分以上歩くと膝や腰が痛くなる
⑨坂道や階段を上ると息切れする
⑩腰回りが太くなり合わなくなった服がある
⑪肩や首・背中が凝りやすい
⑫腕を上げるとすぐに疲れる