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日本刀の魅力、高校生へ

本紙掲載日:2023-01-25
2面

松葉刀匠招き日向工高で「教えて先輩」

 生徒の勤労感や職業感の醸成を目的とする「教えて先輩」が18日、日向工業高校(若林繁幸校長)で1年生103人を対象に行われた。出身地である同市平岩に鍛刀(たんとう)場を構える刀匠、松葉景正(かげまさ)=本名・一路=さん(63)が講師として訪れ、刀の作り方や人生観について語った。

 松葉さんは冒頭、「日本文化の大部分は武士が築き上げてきた。礼儀正しくする、うそをつかない、など心の文化が根本にある」と紹介。その上で、武士の武器だった日本刀について語った。

 実際に松葉さんが所有する日本刀を見せながら、他の刀剣と最も違う点は、一枚の鋼からできており、刀身断面は五角形であることを説明。「カミソリはすごく切れるが、すごくもろい。刀は武器で、よく切りたいわけだが、切れるということはもろいということ。とても矛盾する性質を一つの刀身の中に込めている」

 その上で、青竹の試し切りを実演し、「切れ味を出して、しかも丈夫なのは弾力があるから。日本刀は、ものすごい衝撃に耐えられるようになっている。鋭さ、丈夫さ、使いやすさを究極に求めたもの」と伝えた。

 過去の新作名刀展で日本一になった刀も披露しながら「焼刃土(やきばつち)を塗り、薄いところに焼きが入って、厚いところには焼きが入らない。硬いいところが波紋として浮かび上がってくる」「刀身込みで1キロぐらいなので、目にも見えない速さで切れる」などと特徴や魅力を紹介した。

 また、高校生の頃に読んだ宮本武蔵の手記「独行道」に記されている「我事において後悔をせず」に感銘を受けたとし、「とにかく己を燃やし尽くす。いつも一生懸命だと後悔は存在しない。100%は無理でも90%出し切ったら、失敗したとしてもしょうがない。そのように後悔のない人生を送りたい」と語った。

 講話後、松葉さんの刀に触れた川村愁眞さん(15)は「思ったより軽くて、きれいだった。刀のことと松葉さんの人生が知れてよかった。自分はまだ将来の夢が決まっていないが、後悔のない人生にしたい」と話した。

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