夕刊デイリー新聞社は、本紙に掲載された写真の提供サービス(有料)をしています。
スポーツで活躍した場面の写真、ステージでの発表会、さまざまな行事で新聞に掲載された写真をご家族の記念に保存されてはいかがですか?
写真は本紙記者がデジタルカメラで撮影したもので、新聞紙上では白黒でも提供写真はカラープリントです。
写真のサイズと料金は次の通りです。
▽L サイズ 1枚 300円
▽LL サイズ 1枚 500円
▽A4 サイズ 1枚 1,200円
(A4サイズはラミネート加工もできます。ラミネート加工は500円追加) |
L サイズ
(8.9×12.7センチ) |
1枚 300円 |
LL サイズ
(12.7×17.8センチ) |
1枚 500円 |
A4 サイズ
(21×29.8センチ) |
1枚 1,200円
(ラミネート加工は300円追加) |
|
提供できない写真もありますので、まず、本社にお電話をください。
掲載日などをお聞きし写真を確認した上で準備します。
受け渡しは、本社または支社、支局に来社していただくことになります。
写真によっては提供サイズが限られる場合があります。
また、事件、事故、災害、選挙、肖像権に関係する写真や本社に版権のない写真は提供できませんのでご了承ください。
写真は個人的利用に限ります。
印刷物などに用いることはできません。
写真提供サービス開始とともに、これまでの貸し出しサービスは終了します。
お問い合わせ、お申し込みは
本社(電話番号 0982-34・5000、平日は午前9時−午後5時、土曜は午前9時−午後3時)へお願いします。
|
音楽に終わりはない−県北出身〃還暦〃声楽家3人に聞く
◇ふるさとで歌える喜び、そろそろ後継者を・今村さん
◇とにかくレベル高く「オペラって面白い」・吉田さん
◇ひむかオペラの会の存在、ますます希少に・伊藤さん
人気オペラのワンシーンやアリアなどを県北ゆかりの指揮者、声楽家、管弦楽、合唱団で上演する「オペラガラ・コンサート〜華麗なるオペラの世界〜」は2月12日午後2時から、延岡市東浜砂町の延岡総合文化センター大ホールで開かれる。本番を前に、出演する声楽家の吉田伸昭さん(62)=テノール、同市出身、埼玉県在住=、今村雅彦さん(61)=バリトン、同市出身、東京都在住=、伊藤純さん(59)=バス、美郷町北郷出身、千葉県在住=に思いを聞いた。
−−プロとして活動する傍ら、県北ゆかりの声楽家らでつくる「ひむかオペラの会」(2010年結成)の会員として、ふるさとの音楽文化の向上に力を注いでいます。
〈吉田〉僕ら3人は世代がほとんど一緒で、同じくらいの時期に東京藝術大学(=藝大)に在籍していました。
よくその頃、宮崎市で宮崎県出身の藝大生を集めた演奏会が開かれていて「いつか地元で、延岡でオペラをやってみたいね」jと、実はその頃からずっとずっと言い続けてきました。
東京を拠点に活動しながらも地元で(オペラを)やりたいという思いが、今も続いています。
「ひむかオペラの会」の結成で、ある意味では学生時代からの夢はかないました。ただ、「これで満足だ」と言ったら終わってしまいます。地元の皆さんと一緒にどんどん完成度を高めていきたい。まだまだ、まだまだやれるという思いで続けています。
〈今村〉今、藝大の学生時代の話が出ましたが、その後、3人とも藝大大学院の講師を務めることになり、その時期が重なったことがありました。
そのタイミングで私が、延岡フィルハーモニー管弦楽団(=延フィル)の「のべおか市民オペラ延フィルニューイヤーオペラ2009『魔笛』」(2009年)に出演することになり、その時、延フィルの椛山達己先生から「延岡でオペラ団体をつくったらどうか」という提案がありました。
延フィルが管弦楽を担当してくれるのであれば、ちゃんとしたオペラができると思いました。地元に声楽を学んで歌える人たちがいることも確認できました。
そこで結成されたのが「ひむかオペラの会」です。吉田さんと伊藤さんにも賛同していただいて「われわれを育ててくれた地元への恩返し」という思いで続けてきました。
〈吉田〉同年代で3人そろうこと自体、珍しいことなのです。
〈今村〉それもテノール、バリトン、バスと声域が異なるため、これまでうまい具合にオペラの役にはまってきました。そんな偶然も重なって〃ひむかオペラ〃第4弾の「ラ・ボエーム」(19年)まで続けることができたのです。
還暦前後の3人ですが、よく歌ってきたなと思います。音楽に終わりはありませんが、そろそろわれわれの後継者を考えなければいけない時期になっています。
〈伊藤〉同年代といっても私はオペラの世界に入るのが遅かったので、私にとってお二人は大先輩です。
「ひむかオペラの会」が結成される時、「一緒にどうですか」と誘われました。私の地元は美郷町北郷ですが、お二人と同じく地元に育ててもらった恩があります。自分の専門である歌でよければご一緒させていただきたいと、これまで参加させていただいています。
音楽に終わりはないという話がありましたが、せっかくここまでつくってきました。少しずつ後継者に出てきてもらい、さらに発展していくことを願っています。
また、声楽家自体、全国的に少なくなっています。その中で「ひむかオペラの会」の存在は今後ますます希少になっていくでしょう。
〈吉田〉東京の仲間に同じ地元で同じ年代のプロと、しかも地元の歌い手とオーケストラも一緒にオペラを上演することを話すと、びっくりされます。うらやましがられます。こういう取り組みは、本当に素晴らしいことなのです。
−−延期と中止を乗り越えての、今回の「「オペラガラ・コンサート〜華麗なるオペラの世界〜」です。
〈今村〉1度延期され、2度目は本番2週間前に中止となりました。それが今回、成就します。ありがたいことです。やっと解放されたように感じます。
〈吉田〉クラシック音楽やオペラは敷居が高いと思われがちですが、お客さまに楽しんでいただけるような構成にしています。
だからといって、レベルを落とすことはせず、レベルはとにかく高く。お客さまに「オペラって面白いじゃない」と思っていただけるようなコンサートに仕上げていきたいです。
〈今村〉われわれにはふるさとで歌えることの喜びがあります。お客さまに東京の息吹を感じてもらい、幸せを還元したいです。そして生演奏の良さをアピールしたい。リアルに勝るものはないと思います。ぜひ、お越しください。
〈伊藤〉コロナ禍で見に行くのをためらっているような方こそ、見に来ていただきたいです。生で聴くオーケストラや人間の声、合唱が一緒になってホールに響く。それが本当に素晴らしいんだということを体感できるような舞台にできたらいいなと思います。
−−具体的に、どのような構成になっているのでしょうか。
〈吉田〉コンサートの前半はモーツァルトの人気曲を披露します。わりとメジャーなタイトルの作品を、その場面ごとに説明を加えていきます。後半はイタリアオペラです。音楽や声の魅力をたっぷりと楽しんでいただきます。
指揮者は延岡市出身の若手、山脇幸人さんです。僕たちも楽しみにしています。
〈今村〉どこまで言っていいのか分かりませんが、本番では吉田さんがモーツァルトに扮(ふん)してナビゲーターを務めます。楽しくアットホームな雰囲気の中で「ああ、そういうことなのか」と、よく理解していただけると思います。
こういうエンターテイナーの要素を取り入れることができるのも、吉田さんが東京で場数を踏んできたからこそ。「いいですよ」と引き受けた吉田さんは大したものです。
〈吉田〉言ってしもうた(笑)。
〈今村〉歌い手自身が、これまで何度も演じてきた役を解説し、それを聴かせてもらえるなんて、ぜいたくなことです。どういう風に進行してくれるのかわれわれも楽しみにしています。
〈吉田〉堅苦しいナビゲーターではお客さまを引っ張り込めませんので、趣向を凝らすつもりです。「しゃべりが良かった」「歌よりうまかった」と褒められると、それはそれでちょっと違いますが(笑)。
−−最後に、ふるさとの若い世代へメッセージをお願いします。
〈伊藤〉コロナ禍や世界が混沌(こんとん)としている今だからこそ、若い人たちには希望や夢を持って、しっかり自分の人生を切り開いてほしいです。
宮崎県を含め九州は声が良いとよく言われます。そう言われる九州からわれわれの後輩となるオペラ歌手、声楽家が育ってくれたらいいなと思います。
〈今村〉10代、20代の若い人たちから見たらわれわれはおじいさんだと思いますが、自分たちが大学生の時にコロナ禍に見舞われたらどうなっていたんだろうと思うと、気持ちは痛いほど分かります。
ただ、ネガティブなことばかりを考えないでください。物理学の用語にレジリエンス(弾力性)という言葉がありますが、転じて、ネガティブをポジティブに変えるという意味で今、褒め言葉としてレジリエンス(臨機応変、柔軟性)を使います。
今の若い人たちはコロナ禍でレジリエンスを味わったと思います。制約がいっぱいある中で乗り越えてきたわけです。前に進むしかなかった。それは力になったと感じてもらいたい。
「臨機応変に」と簡単に言いますが、われわれの年齢になっても難しいことです。実はオペラの世界こそ、すごく求められることなのです。
指揮者や演出家は直線的なことしか言いません。後は、自分が体験してきたことをそしゃくして臨機応変に動いて、さらに出演者同士、互いにそういう動きができれば相乗効果で良いオペラになっていくのです。
若い人にはそういうところを十分養えたという自信を持ってほしいですし、夢をバックボーンにして前にどんどん進んでほしいです。
コロナ禍は人生の中で100年に1度という未曽有の出来事です。今後は楽しいことばかりです。夢を持って、希望を持って頑張ってほしいです。
〈吉田〉昨年夏の甲子園で仙台育英高校の須江航監督が話した「青春って密なので」という言葉が、本当に心に刺さりました。分かってはいるんだけども、言ってはいけないような風潮がありましたから、よくぞ言ってくれたと。
コロナ禍の学生は僕らの学生時代とは全然違います。今の学生は我慢だけしています。ただ、この状況に慣れてきて、人との距離を保つことに順応している自分が怖いです。
コロナ禍が終息しても、すぐに元の生活には戻らないと思います。この数年間、我慢する生活をしてしまい、これが普通になっているからです。でも、これは普通ではありません。普通ではないことを、先輩である僕たちが若い子たちに伝えなければいけません。
今の学生を見ていると、人との距離を保ち、僕らの世代からすると消極的に見えることがあります。コロナ禍がそうさせたことなので仕方がないと思います。でも、その姿を見るとすごく心が痛いです。
終息したら自分の殻を開いて、人と距離を取らずにマスクなんてしないで、ダイレクトにコミュニケーションを取ることができます。
それが人間だし、そのことを忘れないで、今は特別に我慢させられている時期なんだということを、常に思っていてほしいです。