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総合診療を考える−宮崎大と大分大医学生ら

本紙掲載日:2023-03-24
3面
宮崎・大分両県の医大生らが学びを深めた「総合診療つながるカンファレンス」

終末医療−希望どうかなえるか

 宮崎、大分両県の医大生と医療・介護従事者らがともに学ぶ「宮崎大分総合診療つながるカンファレンス」が11、12日に延岡市内のホテルであり、学生24人を含む約50人が参加して総合診療への理解を深めた。

 特定の臓器や疾患に限定せず多角的に診療する総合診療は、高齢化や人口減少が加速する地域社会での役割が期待されている。こうした中、大分県総合診療医センターや日本プライマリ・ケア連合学会大分県支部、大分大学医学部は昨年、同イベントを初開催し、宮崎県の参加者も賛同して今年からは同学会宮崎県支部、宮崎大学医学部が加わり合同で取り組むことにした。

 総合診療は高齢者の終末医療に介入することが多く、初日には関係するスタッフの実情や心理を理解する研修を実施。四つのテーブルごとに参加者が高齢患者とその孫、担当看護師、医師、医学生、訪問看護師、高齢者施設の介護職員と施設長、連携室職員の役を演じるロールプレーイング形式で課題に臨んだ。

 数年前から入所している95歳男性が緊急入院を終えて施設に戻ったが再び悪化したという実例を基にした想定で進行。いずれも住み慣れた施設で最期を迎えたいという患者の希望をかなえたいが、責任や人的負担への不安を抱える施設側とどこまで支援できるかという医療スタッフとの家族を交えた協議が限られた時間の中で熱心に重ねられた。

 結果的に4テーブルとも患者の希望通り再入院はさせず、施設で対応することで決着。参加者からは「立場の板挟みになりやすいが、患者の希望を大切にすべきと感じた」「話し合いで一つの方向性に持っていく重要性が理解できた」などの感想が聞かれた。

 宮崎大学から参加した外山絢子さん(26)=医学部4年=は、「本人の望みをかなえてあげたいのは皆、一緒だが施設も家族も不安で、医療チームを含めてみとる技術が浸透すれば、自分の望む最期を迎えることができる患者さんも増えてくるのではないか」と、総合診療発展への思いを強めていた。

 つながるカフェを通じ、参加者は「他職種連携には大きな可能性がある」「他職種への理解が職種連携への第一歩」「地域の他職種と共に学び合うことを総合診療医として支援することも大事」であることを共有。今後も両県の関係機関同士、連携を強めていくことを確認した。

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