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短歌、音楽、トークで紡ぐ物語

本紙掲載日:2023-07-20
6面

22日、若山牧水の没後95年記念公演−野口遵記念館

 日向市東郷町坪谷出身の歌人・若山牧水の没後95年記念公演「いとしの牧水」が22日午後2時から、延岡市東本小路の野口遵記念館で開かれる。
公演を前に、日向市の若山牧水記念文学館館長で出演者の一人の伊藤一彦さん(79)に公演への思いなどを聞いた。

◆「延岡の人と自然が育てた最高の歌人」伊藤一彦さん(若山牧水記念文学館館長)

−−若山牧水はどのような人物だったのですか。

牧水ほど純粋な愛情を人間や自然に向けた人はまれです。家族や友人はもちろん、旅先で出会った人々とも交流を深めています。延岡時代の友達とは一生付き合いがあります。自然に対しても、限りない愛情を注いでいます。
生まれ育った日向市東郷町坪谷の自然、中学校時代を過ごした延岡の自然は牧水に大きな影響を与えました。西行や芭蕉と並んで評価される牧水を生んだことから、県民にはもっと誇りを持ってほしいと思っています。

−−「いとしの牧水」に込められた思いやテーマはありますか。

没後95年の節目の年に当たって、牧水の歌の魅力を再認識したいという思いで今回の公演を企画しました。そして、その公演の舞台の場所として延岡を選んだ理由は、延岡は牧水の文学を育てた土地で、「繁(牧水の本名)が〃牧水〃になったまち延岡」だからです。
公演の第1部では牧水の代表歌を「ふるさと」「恋」「自然」に分けて朗読します。また、それぞれの歌にふさわしい曲が新たに作られました。演奏はピアノ、チェロ、バンドネオン、ギター、フルートと豪華で、ミュージシャンは今、第一線で活躍している最高のメンバーです。
なお、第1部の終わりでは、牧水の後輩に当たる延岡高校(旧・延岡中学校)の生徒による見事な青春の短歌を生徒自らが発表します。楽しいトークもあります。
第2部は、牧水の親友だった北原白秋が牧水について書いたエッセーの朗読、延岡中学時代以来の親友である平賀春郊の手紙の朗読を行います。さらに、1935年3月に延岡市の城山公園内に牧水の歌碑が建立された時の除幕式に牧水の妻・喜志子が訪れて詠んだ歌を紹介します。素晴らしい演奏もあります。

−−延岡高校の生徒が出演することになった経緯を教えてください。

今、若い人を中心に短歌ブームが巻き起こっており、延岡高校は「牧水短歌甲子園」に出場するなど実力校です。そこで同校にお願いして生徒に作品を作ってもらいました。学校長や先生のご努力で優れた作品が寄せられました。さすがでした。大先輩の牧水さんも喜ぶことでしょう。

−−牧水と友人の関係性も知ることができるのですね。

北原白秋と牧水は早稲田大学の同級生で、生涯の親友でした。その早稲田時代の牧水を語った白秋の名エッセーを朗読します。平賀春郊は延岡中学以来の最大の親友で、牧水が春郊に宛てた手紙は264通もあり、一冊の本になっているほどです。その手紙の中から朗読します。

−−なぜ短歌と音楽をコラボレーションさせたのですか。

現代はコラボが盛んな時代です。ジャンルを超えて芸術が交流することで新たな魅力が生まれます。特に、短歌はもともと声に出して歌われていたものであり、音楽をバックにした朗読は短歌本来の魅力を示すものです。

−−最後に、読者にメッセージをお願いします。

全国に牧水ファンがおり、牧水顕彰団体がいくつもあります。今回の公演に当たっても、市外だけでなく県外からも問い合わせがありますが、まずは延岡の皆さんに公演においでいただけたらうれしいです。延岡の人と自然が育てた最高の歌人の魅力を味わっていただけたらと思います。

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