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本紙掲載日:2023-09-13
3面
口腔がんについて話す酒井院長

「知っておきたい口腔がんの知識」さかい歯科・口腔外科医院・酒井博史院長

◆早期発見に定期健診を・セルフチェックも大事

 ステージ(病期)は、がんの進行度を示す言葉です。1から4に分類され、ステージ4はさらにA、B、Cに分けられます。

 病期で大事なのは5年生存率です。ステージ1、2で口腔(こうくう)がんの手術や治療に臨めた場合、5年生存率は90%以上です。ステージ3になると50〜60%、ステージ4になると25〜30%なので、早期発見がいかに大事かということです。

 口腔がんの治療は、主にステージに基づいて決定されます。手術療法が中心です。手術で完結できるものは手術を行い、状況に応じて化学療法や放射線療法を行う形ですが、個々人の状態に応じて内容は変わります。

 治療後は厳重な経過観察が必要です。再発や転移の多くは治療後2年以内に発生することが多いため、治療後2年間は特に重要で、基本的に5年間経過観察をします。

 口腔がん発生の最大のリスクは、たばこと酒といわれています。たばこを吸う人は、吸わない人の約7倍。飲酒の習慣がある人は、習慣がない人の約6倍といわれ、両方の習慣がある人は、そのさらに数倍になります。

 虫歯や合わない入れ歯、歯周病、慢性的な刺激、口の中の細菌も口腔がんのリスクに挙げられています。虫歯で欠けた歯がそのままになっていたり、入れ歯や差し歯が合わなくて舌や頬、歯茎の粘膜を傷つけたり、こすれるような刺激が慢性的に続くと、場合によってはがん化するリスクがあるということです。特に舌がんは、刺激が強く関係してきます。口の中をしっかりケアすることが大事です。

 口腔がんにならないための心掛けとしては、たばこ、お酒を控える。偏食をせずに栄養のバランスがとれた食事をする。歯磨きやうがいなどを行い、口の中を清潔にする。壊れた入れ歯があったり、合わない入れ歯があったり、治療していない虫歯などをそのままにしておかずに、きちんと治療することが大事です。

 かかりつけの歯科医を持つことが一番大事です。定期的に口の中を見てもらうことで、万が一、口腔がんがあったとき、早期に発見されることが増えてくると思います。

 口腔がんを扱う診療科は歯科口腔外科、耳鼻咽喉科、頭頸(けい)部外科の三つです。どこに行けばいいか分からない場合は、かかりつけの歯科か近くの歯科、もしくは耳鼻咽喉科に行って相談してください。口腔がんを取り扱っている適切な口腔外科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科を紹介してくれるはずです。

 口の中は自分で見える場所なので、セルフチェックも大事です。神経質に毎日何回も見る必要はありませんが、1週間や1カ月に1回ぐらい見ると、万が一、異常があったとき早期発見につながると思います。
(おわり)

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