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かがり火囲み一晩すごす

本紙掲載日:2023-10-31
3面
勢いよく燃える炎を囲む子どもたち(28日午後8時ごろ)
訪れた人たちは手料理を囲んで談笑した

お日待ち祭り−吉野町の水谷神社伝統行事

 神武天皇の兄・五瀬命(イツセノミコト)夫妻を祭る延岡市吉野町の水谷(みずや)神社で28日夜、伝統行事「お日待ち祭り」があった。地域住民がかがり火を囲んで一晩を過ごした。

 祭りは、60日ごとに訪れる庚申(かのえさる)の日に、縁日や祭りを開くなどして一晩寝ずに過ごす江戸時代の庶民の娯楽行事「庚申(こうしん)待ち」をベースに、現在まで続いたとされる。

 美々津から大和に旅立った夫妻の帰りを待つ行事との言い伝えもあり、旧暦の9月11日に近い休日に、神世話人会が毎年欠かさず開催している。

 薄暗くなった午後6時から神事が行われ、区の役員や神世話人、消防団員らが参列。一年の無事と豊作に感謝した。高く積まれた木の枝や竹の葉、古札などに地元の子どもたちが点火。勢いよく炎が上がり、辺りを明るく照らした。

 訪れた人たちは、神世話人らが用意した赤飯、すし、煮しめなどの手料理を囲んで談笑。地域の子どもたちもかがり火の周りを走り回るなどして、特別な夜を過ごした。

 甲斐心温さん(10)は「283回続いている伝統行事」と教わったといい、「延岡でも珍しい行事と聞きました。伝統的な祭りを自分たちも引き継ぎたい」。甲斐奏丞さん(10)、咲李さん(9)きょうだいは「楽しかった。火があまりにも燃えててびっくりしましたが、温かかった。また参加したい」と話した。

 きさきをめとったイツセノミコトは五ケ瀬川流域に新居を求めた。そこで吉野を気に入り、新婚時代の数年間を過ごしたと伝わる。吉野の地名の名付け親で、「五ケ瀬川」はイツセノミコトから付いた名前とされる。

 祭りは一晩中続き、神職は夜を徹して祝詞を奏上する「百度ばらい」を行った。

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